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上下水道の完備はいつ?=悪臭やネズミと同居の住民

 連邦政府の全国上下水道完備計画(Plansab)の目標達成は、現状では20年以上遅れると全国工業連合(CNI)が指摘と11日付フォーリャ紙が報じた。
 上下水道完備は保健衛生政策の基本だが、2023年までに上水道100%、下水道も10年後までに90%完備という目標は、2043年と2053年にしか達成できないという。
 最大の問題は手続きに時間がかかる事で、自治体が計画を提出しても、国の資金払い出しは22カ月後だから、見積もりは意味を失い、規模縮小や計画の見直しが必至となる。更に、上下水道完備のための国の資金は、経済活性化計画(PAC)導入時の2007年が60億レ、2009年に100億レに拡大した後は、ほぼ同じ金額だ。
 2013年の全国家庭サンプル調査でみると、下水道網に繋がっている家庭は1996年が40%、2006年が48%だが、PAC導入後の13年は58%のみ。地域差も大きく、北伯や北東伯は普及率が低い。
 上水道は96年の時点で76%、06年には84%の家庭に普及していたが、13年は、PAC導入後にも関わらず、85%止まりだった。
 上水道が完備していないと、下痢などの病気も蔓延し、医療機関の負担が増大。労働者の欠勤も増え、企業の操業や投資計画にも支障が出る。
 トラッタ・ブラジル研究所の2014年の調査では、上下水道関連のPAC事業330件中で終了したのは、上水道関連が33%、下水道関連も26%だ。浄水場からの水の37%は消費者まで届かず、資金が回収できない水道公社は投資も困難になる。損失を10%に抑える事は急務だ。
 サンパウロ市北部ジャルジン・ダマスセノのカニヴェテ川沿いの家々では生活排水が垂れ流しで、大型ネズミが頻繁に出没、雨が降れば洪水、降らなければ窓を閉めても糞便の臭いが漂う、子供が気管支系疾患などで苦しむなどの苦情が後を絶たない。