【既報関連】サンパウロ市では無賃乗車運動(MPL)主催による公共交通料金値上げ反対デモが頻発しており、8日に続き、12日も軍警との衝突が発生したと13日付伯字各紙が報じている。
軍警は12日のデモ参加者を、8日の3千人より千人少ない2千人と見ているが、同日のデモと8日のデモでは、警備に当たった軍警の警備方針に明らかな変化があったとされている。
警察は、デモに紛れて扇動、暴力的行為を働く集団〃ブラック・ブロックス〃(BB)との衝突が起きる前から参加者の手荷物を厳しく検査し、デモ隊を追い散らすためにガス弾を多用した。
パウリスタ大通りに集まったデモ参加者らは、予定されていたコンサラソン街ではなく、レボウサス大通りを通ってピニェイロス方面に向かおうとしたが、事前の届けがないと、軍警に行く手を妨げられた。
押し合いの末にガス弾が撃ち込まれ、群衆は散り散りになった。MPLは〃血の海になった〃との表現を使い、28人が負傷して病院に運ばれたとして、軍警の行為を非難した。
サンパウロ州保安局はこれを否定し、混乱が起きたのはデモ隊が届出にない経路をとろうとし、警察のブロックを突破しようとしたからだとした。
負傷者のひとりで、頭から流血していたエベル・カルロスさん(28・地下鉄職員)は、軍警から警棒で殴打されたと語った。また負傷者の中にはジャーナリストやデモに参加していなかった歩行者もいた。
8日に行われたデモでは、BBがバスや銀行、サンパウロ市交通公社(CET)の車両を襲っている。11日のデモは平和裏に終えたが、12日のデモにBBが加わる可能性があるとの情報に、軍警が対応を変えた。
レボウサス街への進行を阻まれ、軍警のガス弾攻撃で散り散りになったデモ隊は、近隣のイジエノーポリス区に逃げ込んだ。デモ隊の一部は暴徒化し、カサンバと呼ばれる粗大ゴミ収集箱をひっくり返し、ゴミに火をつけたりした。それを追う軍警の怒号と、ガス弾の喧騒に、閑静な住宅街の静寂は大いに乱された。
MLPは次のデモを、14日にサンパウロ市西部ピニェイロス区のラルゴ・ダ・バタタと中央部の市営劇場前で行う予定だ。