サンパウロ州リベイロン・プレット市在住で、頭を布で覆った女性が1人、病院を後にした。北東部の海岸への旅行後に発熱。光がまぶしく、体中が痛いと訴え、デング熱の疑いで入院したが、診察した医師は、オロポウシェ熱という、聞きなれない名前の病気との診断を下した。
オロポウシェ熱は、セラトポゴニダエ(別名クリコイデス・パラエンシス、マルイン、モスキット・ポウヴォラ、ボラシュードとも呼ばれる)という、成虫でも3ミリ程度の小さな虫や蚊が媒介する熱帯性の病気だ。1096年代始めに発見され、虫が媒介する病気としては国内で2番目に患者数が多いが、余り知られていない。
サンパウロ総合大学リベイロン・プレット校医学部のエウリコ・アルーダ教授によれば、この病気の症状は、高熱や強い頭痛、悪寒、腰の辺りの痛み、強い光を受けると不快感や眼の痛みを感じる羞明(しゅうめい)などで、デング熱と誤診される事も多いという。症状は4~5日続き、3分の1は症状がぶり返す。この場合、症状は更に5日程度続く。
この病気を媒介する虫は川の近くやマングローブの茂み、洪水で水が溢れた所などに生息し、アマゾナス州では発症例も多いが、冒頭の患者は、アマゾナス州以外の所で確認された2人目の発症例だという。
アルーダ教授はデング熱と診断されたケースの40~50%はオロポウシェ熱の可能性があるとし、60年代からの患者数は50万人を超えると警告。これまでに報告された例は、アマゾナス州の一つの集落全体で患者が発生といった形が大半で、単発的に出た患者はデング熱などと誤診される可能性大だという。
アマゾナス州以外の場所で感染者が出た事について、同教授は、オロポウシェ熱が州外にも感染した事に医療関係者が気づかず、誤診していた可能性があると見ている。
アマゾナス州では良く知られるマヤロ熱も、黄熱病も媒介するアエマゴギス・ジャンスィノミスと呼ばれる蚊が媒介する熱病だ。オズワルド・クルス研究院(Fiocrus)のフェリッペ・ナヴェカ副院長によると、マヤロ熱も発熱と頭痛、体中の痛みなどを伴い、デング熱やジカ熱、チクングニア熱と誤診されやすいという。マヤロ熱とチクングニア熱は親戚関係で、マヤロ熱は関節部の痛みを訴える傾向が強く、チクングニア熱は筋肉の痛みを訴える例が多い。両者共、デング熱やジカ熱、オロポウシェ熱より症状が続く期間が長く、発症から2年後も痛みが続く例もある。
オロポウシェ熱とマヤロ熱は従来の検査では確認できないため、「デング熱でもマラリアでもない」といって、Fiocruzに検体を送ってくるケースが多いという。
どの熱病も発症から5日以内はウイルスの発見が容易だから、早めに診察を受ける事が大切だ。従来は症状が穏やかとされていたジカ熱も、致死例が確認され、小頭症やギラン・バレー症候群、視覚障害なども招き得ると報告され始めてから注意が喚起されたように、オロポウシェ熱やマヤロ熱も研究の継続や啓蒙活動が必要だ。(13日付G1サイト、7日付Extraサイトなどより)