サンパウロ州沿岸部、サントス湾東岸のグアルジャー市の貨物集積場で14日午後3時過ぎ、化学物質が入ったコンテナに雨水が浸み込んで化学反応が起き、火災と共に有毒な煙が大量発生する事故が起きたと15日付伯字各紙、サイトが報じた。
煙は近隣のサントス、サンヴィセンテ、プライア・グランデ、クバトンの各市にも及び、15日午前10時の段階で、グアルジャー市で76人、サントス市で26人、クバタン市でも17人が吐き気や目の痛み、呼吸困難、皮膚の炎症を訴え、病院で手当を受けた。
貨物集積所の責任者のロカルフリオ社は公式サイトで、コンテナに含まれていたのはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムで、専門家が事故原因究明に努めており、情報が分かり次第公表すると共に、事故の影響を最小に抑えるために必要な措置をとると発表した。
サントス港を管理しているサンパウロ州埠頭公社(Codesp)は、化学物質が漏れた事で火災が起こり、12個のコンテナが影響を受けた、現場一帯を隔離したと発表した。
カンピーナス総合大元教授で毒物が専門のフラヴィオ・ザンブローネ氏は「発生した物質は非常に毒性が強く、皮膚や目に炎症などを起こすし、肺に入れば咳や呼吸困難を引き起こす。主成分は塩素で水に溶けやすいため、今後は環境被害も心配される。適量ならプールの水の消毒にも使われるが、大量に肌に触れると危険だ」とした。
またサンパウロ総合大のアンソニー・ウォン毒物学教授は「症状は1日程度で消えるが、小児、高齢者、呼吸器に問題を抱えている人はもう少し時間がかかる」とした。
コンテナ集積場から発生した煙は街中に立ち込め、住民がマスクを買い求めて走ったため、市内の薬局ではたちまちマスクが売り切れた。
15日午後2時18分の段階でも煙は上がり続けており、地元消防局は15日夜までに消火活動を終える事を願っていると発表した。午後2時42分にはグアルジャー市議会議長が、事故原因究明と再発防止、責任追及を目的とし、市議5人による特別委員会の設置を決めたと発表した。
環境浄化技術公社(Cetesb)は、旅行者に対し、煙が届く沿岸部(バイシャーダ・サンチスタ)への旅行を控えるよう勧めている。