米国当局は15日、中南米地域でのジカ熱感染拡大を受け、妊娠した女性に対し、カリブ海や中南米14カ国への旅行を避けるよう警告した。2月初めのカーニバル期間に北東伯を訪れる観光客が地元に持ち帰り、それが8月のリオ五輪を通して全世界に拡散する可能性が一部専門家から指摘されている。日本からの観光客も8千人程度見込まれており、日本に〃輸出〃される可能性も無視できない。感染予防や対処法について、サンパウロ日伯援護協会のリベルダーデ医療センター勤務の身吉リディア・ミネ医師(56、二世)に聞いた。
ブラジル保健省の統計では、昨年1月~12月第1週までのデング熱患者は約160万人で死者は800人超と伯字メディアが報道した。デング熱と同じ蚊がジカウィルスを媒介し、小頭症やギラン・バレー症候群を引き起こす可能性が指摘されている。
最もジカ熱の被害が集中するペルナンブッコ州都レシフェ市は昨年11月末の時点で「緊急事態宣言」を発令した。当初こそ北東伯を中心とした問題と見られていたが、いまや全伯的な問題になり、外国人観光客にも影響は拡大した。
昨年12月に12日間、バイーバ州サルヴァドールで休暇を過ごしたイタリア人男性が、フィレンツエに戻ってから発熱し、ジカに罹患していることが判明し、12月18日付フォーリャ・ビットリア紙電子版は「ブラジルはジカを〃輸出〃した」と報じた。
同様に6日付G1電子版は、在伯歴のあるボリヴィア人女性が自国でジカ熱を発症した最初の事例を報道した。
身吉医師はデング熱に関して「ウィルスには4種の型があり、全て抗体が異なるため、一度かかったからといって安心できない。二度目は特に重症化しやすい」とデング熱の特徴を語った。悪化した場合、大量の出血によって血圧が下がると、ショック状態を引き起こすという。身吉医師は「症状が重ければ死亡することもあるので、デング熱が疑われる時はすぐに医療機関へ」と話す。
デング熱、ジカ熱、チクングニアともに、まだワクチンが認可普及していないため、「蚊に刺されないこと」が最も重要な対策。厚手で長袖の衣服や、虫除け薬を使うことを勧めた。
リオ五輪で来訪する旅行者には「涼しい8月の開催だが、リオは一年中感染の可能性がある」とし、「高熱や風邪の症状が出ればすぐに救急病院に行くべき」と語った。「いつでも病院に行けるよう、事前に医療機関の場所を調べ、ポ語で病状を説明できる人と一緒に行動すること、病院の無い場所に行かないこと」と呼びかけた。
日本にはデング熱を媒介する蚊としてヒトスジシマカが生息しており、帰国した感染者の血をその蚊が吸って、別の人に伝染する可能性があるようだ。日本国外務省の海外安全ホームページは15日、「中南米地域におけるジカ熱及びデング熱の発生」と題したレポートを掲載。予防法、現地在外公館の連絡先などが記載されている。(http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2016C015)。
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リベルダーデ医療センターの身吉リディア医師によると、血液型ではO型が蚊に刺されやすいという。ビタミンBを取ると虫が嫌う成分が皮膚から出てくるため、玄米やサプリメントで摂取することを勧めた。デング熱感染後は脱水症状を防ぐため、水分補給が必要。ナトリウムなどの電解質を含むものが良く、お湯1リットルに砂糖1さじ、塩を軽く1さじを溶かした水でもよいという。まだワクチンが入手できない感染症なので、あらかじめ感染した場合の対策を考えておくのが現実的だろう。
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身吉医師は続けて、「生水を飲まないこと。日本よりもマグネシウムが多いので下痢をしやすい」「歩道がデコボコで転んで怪我をする人が多い」「車はスピードが速くマナーも悪い」「ブラジルでは風邪を引いてもマスクをしないので、くしゃみから菌が広がりやすい」「トイレでは使用したティッシュをゴミ箱に捨てる。どの建物内も日本より菌が多いと考えた方がよい」と注意点を列挙。カーニバルや五輪観戦に来る人は治安対策だけでなく、いつでも病院に行ける用意をして渡航して欲しいとのこと。なお援協の日伯友好病院とリベルダーデ医療センターでは日本の主要海外旅行保険が使えるので、サンパウロ市を訪れる人は覚えておいて損はないだろう。
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