21日、労務社会福祉省が2015年の正規雇用の統計を発表し、過去24年間で最悪となる、約150万人の雇用喪失を計上したことを明らかにした。22日付伯字紙が報じている。
15年の全就労・失業者台帳(Caged)を基に就業者と失業者の数を差し引きすると、1992年の統計開始以来、最悪の154万2千人のマイナスになった。雇用総数減少は1999年以来16年ぶりのことだ。
内訳を見ると、8部門中7部門で雇用が減少。中でも製造業は60万8900人を失い、同年の工業部門の衰退を象徴する結果となった。建設業も41万7千人減少したが、これは、ペトロブラスとの贈収賄工作などに関わり、ラヴァ・ジャット作戦で告発された建設大手が軒並み業務差し止め処分を受けたりして、41万6900人が職を失ったのが響いた。
また、サービス業で27万6100人、商業も21万8700人など、第3次産業での雇用喪失も起きた。鉱業は1万人4千人、行政機関は9200人、公共サービス・公社関連も8400人の減少を記録した。
そんな中、唯一の例外は農牧畜業で、9800人分の雇用が増えた。農地拡大や農作物の増収が押し上げたもので、サンパウロ州46万6千人、ミナス・ジェライス州19万6千人、リオ州18万3千人と、南東伯の農業界での雇用創出が効いた。
ミゲル・ロセット労務相(労働者党・PT)は、「ここ数年で築き上げた雇用創出が著しく損なわれたわけではない」との見解を表明した。150万人の雇用喪失は13年と14年の雇用創出の合計とほぼ同じで、正規雇用者数は2012年の水準に逆戻りした。
同労相は、16年は銀行融資や輸出の拡大、輸入品が占領していた市場の回復に期待し、インフラ部門の入札に第3次の「ミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザ」なども計画されているので、15年より良い結果が期待できると見ている。
20日付エスタード紙は、世界中の労働市場の状況を調査している国際労働機構(ILO)が、15年のブラジルの雇用喪失は120万人、2016年も約70万人が失業と予測していたと報じた。
だが、イカトゥ・ヴァングアルダのエコノミスト、ロドリゴ・メロ氏のようには、経済危機に拍車がかかり、16年の雇用喪失は拡大すると予想する専門家もいる。