ブラジルはジカ熱を媒介するネッタイシマカの抑制に成功しているとは言いがたい状況にあるが、マルセロ・カストロ保健相(PMDB・民主運動党)による実情認識の甘さを疑われる発言に、政府は困惑、嫌悪感まで示していると26日付伯字各紙が報じた。
「ブラジルはネッタイシマカとの戦いに完敗している」とし、着衣について警戒する時も「蚊は手先や足先を狙ってくる。女性はスカートをはくし、ズボンの時もサンダルだから男性より気をつけなくてはいけない」と言うなど、物議をかもす発言にジウマ大統領も不快感を隠さない。
同相は25日に再度、「ブラジルはデング熱、ジカ熱、チクングニア熱を媒介するネッタイシマカの押さえ込みに失敗している」と発言し、大統領府をさらに苛立たせた。
保健相は昨年12月にも、蚊対策が不徹底なことに関して、政府や社会は「いつも運まかせで、宝くじの列に並んでいるようなもの」と他人事のように語っている。
カストロ保健相は昨年10月の閣僚改造でのPMDB躍進に伴い、保健相の座に就いたが、就任直後から問題発言が多いことでも知られている。1月には、「(身体に免疫ができるように)女性には妊娠適齢期前に1度ジカ熱にかかってもらいたい。そうすれば配布ワクチンも少なくて済む」とも発言している。
同相の軽率な発言は多岐にわたり、妊娠と小頭症の関係が疑われる中で妊娠を考えている人に、「性交渉はアマチュアのやること、しかし妊娠はキチンとした知識を持った人がすべきこと」と発言したりもしている。
フォーリャ紙の電話取材を受けた同相は、発言によって地位が脅かされているとは考えていないが、「妊娠前にジカ熱になれば良い」との発言に関しては、「デング熱は型が四つあるけど、ジカ熱は一つだから、妊娠前にかかっていれば免疫ができる(=小頭症から自由になる)と考えての発言だ、一回くらい誤解を招く言い方をしても仕方ない」と語った。
「女性の服装は予防に不適切」との発言が女性蔑視、男性優位主義と批判されている事に関しては、「他に言いようがあれば教えてくれ。小頭症の光景を見たか? 男性優位主義だって? 勘弁してくれ」と一方的に電話取材を打ち切った。
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