3年前の1月27日未明、南大河州サンタマリアのナイト・クラブ「Kiss」で火災が発生、最終的に242人の犠牲者が出た▼事故直後は、天井が低く材料も可燃性のものだった、非常口や誘導灯などの不備で出口もないトイレに人が殺到するなど、安全基準を満たさない設備で営業していた事が問題視され、人が集まる場所の安全基準遵守などを謳った条例改訂も行われた。だが、サンパウロ市のポルトガル語博物館の火災後、同市内の博物館などを調べたら、未だに安全基準が徹底していない事も明らかになった▼サンタマリアでは火災から3周年の27日に追悼行事が行われたが、遺族達は同様の事故を防ぐための方策が徹底していない事や裁判が完結していない事への苛立ちや失意を隠さず、火災に巻き込まれたが助かった人達は、今も閉鎖空間や暗い場所が怖くてたまらないなどと吐露。3年経っても事故の後遺症が残っている事を目の当たりにする出来事だ▼一方、Kissの共同経営者の一人が最近、営業資格のない施設に営業許可を与えたとして行政機関や消防署を相手に賠償を求めていると聞き、事故さえ起きなければ安全基準を満たしていない事を知りつつ、のうのうと金儲けに勤しんでいたはずの人物が何を言うかと、片腹痛い思いもした▼ポ語博物館の火災では消防士が1人死亡したが、消防署の安全基準などを満たしていない施設に改善命令を出す機関の職員数はどれだけで、どんな活動を行っているのかも気にかかる。南大河州の火災を「他山の石」とし、施設の安全確保、条例整備、監査徹底などに繋げていかなければ、犠牲者や遺族は泣き寝入りとなるのみだ。(み)