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ブラジル史上最大の環境破壊事故につながった昨年の鉱滓ダム決壊事故(Antonio Cruz/Agencia Brasil)
ブラジル史上最大の環境破壊事故につながった昨年の鉱滓ダム決壊事故(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

S社ダムでまた鉱滓流出=「外に漏れてない」と主張=調査団視察の2日目に発生

 昨年11月5日に決壊した、ミナス・ジェライス(MG)州マリアナ市のサマルコ(S)社の鉱滓ダム「フンドン」で、27日に再び鉱滓漏れが発生し、S社職員が現場からの退避を余儀なくされたと28日付伯字各紙が報じた。
 昨年11月のダム決壊では大量の鉱滓が流出してベント・ロドリゲス地区がほぼ全滅、17人の死者と2人の行方不明者を出した。鉱滓はマリアナ市を経てドッセ川に流れこみ、流域の自然環境にも大損害を引き起こした。鉱滓による被害はエスピリトサント州沿岸部やバイーア州の大西洋岸にまで拡大した。
 MG州防災局によれば、27日に流出した鉱滓はS社管理エリアから外に出る事はなかった。
 MG州検察局の同件特別調査班責任者のカルロス・エドゥアルド・フェレイラ・ピント検事は、事故の規模を調べるための調査隊を現地に派遣した。現場上空からの検分も行った同州防災局は、文書で「27日正午頃、フンドンダム内に残っていた鉱滓があふれ出た」と発表した。
 MG州重建設業界労働者組合会長のジョゼ・アントニオ・ダ・クルース氏によれば、従業員、特に派遣労働者は少なくとも26日まで、重機類を通すため、11月の事故で鉱滓が達したベント・ロドリゲス付近の通路の清掃を行うと共に、残っているジェルマノダムの補強工事を行っていた。
 S社は声明で「鉱滓排出は予防的措置で、外側のダムで食い止められ、市街への流出の可能性もなかったため、警報を鳴らす必要はなかった」とし、続けて「(より大きな)ジェルマノ、サンタレンの二つのダムの状態は良好で、常に監視下にある」とも発表した。
 27日はちょうど、ブラジル鉄鉱最大手、Vale社と共にS社を共同経営しているBHP(B)社が派遣した調査団による現場視察2日目だった。
 マリアナ市で27日に記者団に面会した視察団は、B社のパートナーではあるが、同社職員ではないと説明。来伯の目的は大惨事後のS社がどのように復興、修復、再発防止に取り組んでいるかの視察だとしている。B社自身は視察団に関するコメントを避けている。