ブラジル保健省は28日、世界保健機構(WHO)が開催する特別会合でジカ熱感染と小頭症に関する最新の研究結果を報告した。ブラジルを訪れた外国人観光客が帰国後に発症する例も続いており、ジカ熱は今や国際問題で、WHOは緊急の特別委員会設置も発表したと28日付伯字紙、サイトが報じた。
保健省の報告は、ジカ熱に感染した妊婦は小頭症児を出産する危険性が何倍も高くなる事を示している。ブラジルでは15年10月22日~16年1月23日に、小頭症が疑われる例が4180件報告された。462件は小頭症の疑いが排除されたが、270件は小頭症と診断され、内6件はジカ熱感染も確認された。残り3448件はまだ調査中だ。妊娠中または誕生後に死亡した小頭症児68人については、12人でジカ熱感染が確認された。51人は因果関係を調査中だ。
ブラジルは現在、米国と共同でジカ熱ワクチンの開発に取組む意向で、27日にWHOの会合に参加する両国の関係者の会合も行われた。ブラジル代表団団長のジャルバス・バルボーザ氏は「ジカ熱ワクチンの実用化には3年程度かかる」とした上、通常のワクチン開発には10年位かかるから、異例の速さだと強調した。
一方、ブラジル政府は、ジカ熱を媒介するネッタイシマカ対策として、ボウフラ発生源撲滅と住民教育のための各戸訪問に向けた兵士を2千人から5万人に増員すると共に、2月13日に兵士22万人による啓蒙キャンペーン実施を決定。家族1人当たりの収入が220レアル以下の家庭で小頭症児が生まれた場合は、毎月880レアルを支給する意向も固めた。
28日にはブラジルを訪問したオーストリア人女性が帰国後にジカ熱を発症した事も確認され、感染者が確認された国は23カ国に及んでいる。欧米は外国旅行者の発症に止まっているのに対し、ブラジルを始めとする中南米諸国では域内感染が広まっている。ブラジルでは、ネッタイシマカより小型の蚊がジカ熱を媒介する可能性も調査中だが、その結果次第では対策のあり方にも変化が生じそうだ。
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