ペルナンブッコ(PE)州カルアルー市の住民34万7千人は、月の3分の2は水がないという生活を強いられ、農作物も干上がった。片や同市から3800キロの南大河州アグード市では、昨年12月の大雨で行方不明のままの人がいる。
干ばつと水害、被害の形態は真逆ながらも、ブラジルの全自治体の5分の1は自然災害を理由とする「緊急(E)・非常事態(C)宣言」を出していると26日付フォーリャ紙が報じた。
また、自然災害ではないが、PE、アラゴアス、アマパー、ピアウイ、北大河、パライバ、セルジッペ、エスピリトサント、ゴイアスの各州は、ネッタイシマカの大量発生や蚊が媒介するデング熱やジカ熱、チクングニヤ熱流行のため、州全体が緊急事態宣言下に置かれている。
E・C宣言を出している自治体のうち、77%にあたる792市は干ばつに苦しんでおり、北東伯、ミナス州に集中している。南部は対照的で、大雨に伴う浸水や水没、土砂崩れのせいで236自治体が、E・C宣言を出している。
ミナス州では102市が干ばつ被害を訴えている他、7都市が大雨の被害でE・C宣言を出し、州の承認を待っている。4都市は昨年11月のサマルコ社の鉱滓ダム決壊による被害でE・C宣言を出している。
E宣言の定議は以下の3条件の内二つを満たした場合としている。①学校、公立病院、家屋、インフラ設備あわせて九つまでが影響を受ける。②9人以内の死者が出る。③1万人以上が住む地域の5~10%の水道、電気、ガスの供給が危機に陥る。C宣言は前記の3条件を上回った場合で、いずれの場合も期限は180日となっている。
5年前の北東伯の干ばつ激化以来、夏にE・C宣言を出す自治体の数は高止まりの状態が続いており、15年は1095市、14年は1538市が宣言を出した。科学技術省は、北東伯の少雨と南伯の多雨傾向は「エル・ニーニョ」現象が主因で、今後少なくとも3年は続くとしている。