連邦政府が28日、1年半ぶりの経済社会開発審議会(大審議会)を開催し、経済刺激のために830億レを市場に注入する意向を表明したと29日付伯字紙が報じた。
15年の税収は前年比微増の1兆2千億レ、基礎的財政収支は1150億レの大赤字、拡大消費者物価指数(IPCA)は10・67%、150万人が雇用喪失、経常収支の赤字こそ1042億レが589億レに減ったが、全ての経済指標はブラジルの景気後退の深刻さを示している。今年の地方選や18年の統一選を視野に入れる現政権には、年内に経済を上向かせる事は今後の政権維持に不可欠な項目の一つだ。
バルボーザ財相が提示した7提案の一つは、勤続期間保障基金(FGTS)の10%と、正当な理由はないのに解雇された場合に雇用主が払うFGTS残金の40%を、貸付を受ける際の保障に使う事を認めるというもので、170億レの経済効果を狙う。以下、FGTSの投資基金(FI―FGTS)をインフラ関連の融資に利用し220億レ、機械や設備購入用貸付資金の社会経済開発銀行(BNDES)からの調達で150億レ、ブラジル銀行からの農業融資10億レ、FGTSからの住宅資金融通で100億レ、BNDESからの零細企業への融資で50億レ、BNDESからの輸出業者への融資で40億レとなっている。
ジウマ大統領は、金融取引暫定納付金(通称小切手税、CPMF)復活の必要性などを強調し、「危機脱出のための解決策を見出したいし、対話にも応じる」と述べた。
だが、これらの提案の中には議会やFGTS審議会、BNDES理事会などの承認が必要なものもあり、提案通りの額を投入できるかは不明だ。
市場関係者らは「問題は融資の欠如ではなく、投資意欲の欠如」とし、「今後の先行きを見通す上で不可欠な財政調整などの方策が固まらなければ、刺激策も効果薄」との見解を表明。野党側も「FGTSの資金利用は銀行を助けるためで、労働者のためではない」と批判している。