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PwCブラジル=第6回=2016年法律13.254=国外で保有する未報告の資金に関する規制=矢野クラウジオ(タックス・ディレクター)

 (2016年1月14日公布)2016年法律 13.254は Regime Especial de Regularizacao Cambial e Tributaria(RERCT)という規制を制定するものです。ブラジル当局に報告されていない国外に保有する資金や資産を規制する場合に、RERCTは適用されます。
 RERCTは2014年12月31日まで、ブラジル居住者で国外に保有していた資産(個人または法人のいずれか)に対してのみ適用されます。2014年12月31日の為替レートが適用されることになります。
 規制される資産は、所得税の課税対象となり、キャピタルゲイン15%のほか、100%の罰金が課せられ、合計すると30%の税負担が加算されることになります。
 しかし、2014年12月31日のドル為替レートと現在の為替レートを換算するとと、税負担は約20%となるでしょう。
 納税者はこの特別制度が連邦国税庁によって公布されてから(2016年3月15日までに発行される予定)規制対応の期間が210日与えられます。
 さらに、2016年法律13.254によると、未報告資産の規制は1986年法律7.492(国外資金の保有)及び1990年法律8.137の第1条および第2条(脱税)に記されている犯罪の恩赦に繋がります。また、以下の罰則については、もはや適用されません。
(I)ブラジル中央銀行(BACEN)に対する未報告海外資金についてのペナルティ
(II)ブラジル証券取引委員会(CVM)およびその他の規制当局によって課されるその他の罰則
(III)所得税に適用される罰則
 また、納税者はブラジルに資産を持込む必要はなく、国外でそれらを保有し続ける事はできますが、それらが報告された後、受益者の所得税申告に統合する必要があります。
 最後に、この法律は、最近のOCDE(BEPS)議論の傾向として、脱税に対する協力及び透明性、そして税務上の情報交換に関しての国際協力に関連する動向に沿ったものとなっています。
 資産の所在国によっては、それらの規制はブラジル当局側が、国外管轄当局から質問される可能性があると考えるのが妥当です。
(問い合わせ=claudio.yano@br.pwc.com この記事は、ブラジルにおける法令等の改正動向等をお知らせするため発行されたものであり、一般情報の提供を主たる目的としていますので、個別ケースに対する専門的アドバイスとして、ご利用頂けない場合がございますのであらかじめご了承下さい)

【具体例】
規制される金額がUS$10,000の場合

為替レート1USドル (2014年12月31日時点) :  R$2.65
現在の為替レート1 USドル :            R$4.00

2014年12月31日時点で規制される金額: R$26,500.00
税額(15%):                R$3,975.00
罰金(税額100%):            R$3,975.00
合計金額+罰金:              R$7,950.00

税額及び罰金の現在レートでの規制額に対する割合:R$7,950.00/ R$40,000.00=19.87%”