今年のリオデジャネイロのカーニバルのパレード(デスフィーレ)を制したのは、老舗エスコーラのマンゲイラだったが、その古豪が今年のパレードのテーマに選んだのは、ブラジル音楽界が生んだ屈指の歌姫のひとり、マリア・ベターニアだった。
マリア・ベターニアと言えば、ブラジル音楽界を1960年代から支えている重鎮のひとりだ。兄はジルベルト・ジルと共に音楽界の新世代寵児となったカエターノ・ヴェローゾ。そんな偉大な兄を持ちながらも、マリアはトレードマークのロングヘアによる神秘的な雰囲気と深みのある歌声で、カエターノとはまた違う、独自の世界を構築し、多大な尊敬を集めている。
今年は彼女の音楽生活50年。生誕70年を迎える彼女にとっては大きな節目の1年だが、それをマンゲイラはテーマとした。マリアの出身は北部のバイア州だが、長きにわたるリオ生活で、今やカリオカ(リオっ子)たちにも地元民のように愛される存在だ。
そんなマリアは、8日に行われたマンゲイラのパレード(テーマは「マリア・ベターニア~風の神、オヤーの眼から生まれた娘」)に、みずからアレゴリア(山車)に乗って登場。パレード全体がマンゲイラのイメージ・カラーでもあるピンクとグリーンに囲まれる中、マリアはおとなしく微笑みながら沿道の観客に手を振って声援に応えていたが、彼女の強い存在感が一糸乱れぬパレードに力を与えていた。
結果、マンゲイラは、最後まで大接戦となった採点で、長年のライバルであるサルゲイロ、ポルテーラ、チジュッカという名門エスコーラを振り切って優勝した。
マリアはオ・ジア紙から受けたインタビューで「私、競争って苦手なのよ」とし、勝敗にはこだわらず、「演出にも特にこだわらず、言われたままにしただけよ」と謙虚に答えていたが、優勝について「すごく嬉しいし、マンゲイラにはその価値があったわ。きっと、故郷のバイアの人たちも喜んでくれていると思う」と嬉しそうに語った。(11日付オ・ジオ紙サイトより)
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