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バルボーザ財相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
バルボーザ財相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

ブラジル政府=歳出削減案発表を延期=黒字目標早くも引き下げか=財政改革本気度に疑問符

 ジウマ大統領は、12日に予定していた、今年度の歳出削減案の発表を3月に延期したと12日付伯字各紙が報じた。
 延期の主な理由はより広範な財政調整を兼ねた歳出削減案を作成するためだ。市場関係者の多くは、政府は今年度の基礎的財政収支の黒字目標をいち早く引き下げ、削減幅を少なくするだろうと見ている。
 歳出削減の規模を決めるために討議されているのは、政府が抱える負債の利子を払うために使われる基礎的財政収支の黒字目標に幅をもたせることだ。黒字目標に幅をもたせることを議会が認めたら、今年度の黒字目標は国内総生産(GDP)の0・5%以下に引き下げられる見込みだ。
 現行の黒字目標を達成するには500億~600億レアルの歳出削減が必要なため、目標変更がかなわなければ、政府の最優先事項である社会保障政策費に手をつけなくてはならなくなる。
 12日に発表される予定だった160億~180億レの歳出削減案は、基礎的収支の黒字目標達成のためには規模が小さく、経済界の信頼を損ねるとして、ネルソン・バルボーザ財相、ジャッケス・ワグネル官房長官、ヴァウジール・シモン企画相からなる経済三部会によって退けられた。
 歳出削減規模を200億レ以下に抑える可能性が出てきた事や、歳出削減案発表の延期に対する金融業界からの評判は芳しくない。
 政府側は3月までの時間を使い、歳出拡大制限の設定や社会福祉政策改革を行う予定だが、アナリスト達からは政府の財政調整への本気度を疑う声も出始めている。
 大統領府広報官は「歳入減のせいで、このままでは社会保障政策費を削減しなくてはならない。それを避けるためには、もう少し現状分析の時間が必要だ。全ての財政政策は3月までに発表できる」と語った。
 15年12月で期限が切れた政府経費自由枠(DRU)を23年まで延長する憲法補足法案(PEC)の承認を得るために議会を説得する役割は、シモン企画相とバルボーザ財相が引き受けた。3月までにDRUが延長されれば、歳出削減幅は緩やかになり、予算カットの影響は優先順位の低い部門に留まる。
 DRU延長と金融取引暫定納付金(CPMF)復活が成立すれば、財政目標達成の可能性は高まる。歳出削減の詳細が決まるまでの各省の月々の支出枠は、予算の18分の1に限定される。