ともあれ、インテグラーダ側が否定する以上、(コチアが生き返った!)という捉え方は、筆者の感傷が生んだ幻覚であったことになる。
消えた白い雲とは全く別の新しい白い雲が、北パラナの青空高く浮かんでいる――と表現を変えるべきであろう。
善戦する残党たち
インテグラーダは、その発足時、コチアの職員だった人々を雇用した。報酬は20~50%カットした。これを知ったバンコ・ド・ブラジルのパラナ州担当専務、アウチーノ・コスタという人が「よし、自分がやる」と協力してくれた。それを知って、他の銀行も足並みを揃えてくれた。これで資金繰りの歯車が円滑に回った。
それから19年度目の昨2014年の事業報告書によると――インテグラーダは、14レジョナルに、13の事業所を含む百数十の諸施設(大型サイロ、各種工場など)を所有している。
組合員は7、840人。(2015年5月には8002人)。ただし、その多くが別の組合にも入っている。最近は何処でも、そうなっているという。
組合員中の日系は約2割。この数字は少ない気もするが、全体的な日系農業者の減少を勘案すれば、そんなものであろう。
組合の幹部は殆どが日系人である。従業員は1850人。組合員、従業員の数は創立以来、継続的に増加している。
2014年の事業量は19億3598万R$。純益が5118万R$。 入荷する生産物は大豆とミーリョが主で、ほかに小麦やカフェーがある。営農資材・加工品の販売は肥料、農薬、ミーリョの粉、種子、飼料など。
組合員への融資は充分な抵当をとり、焦付きを最小限に抑えようとしている。コチア瓦解の主因の一つが、この焦付きであった。
2015年の事業量は20億R$を超す見込みである。この事業量を旧北パラナ単協時代と比較しようとしても、貨幣価値が変わってしまっている現在、数字では把握しにくい。インテグラーダの職員は、量的に数倍と見ているという。
インテグラーダのほかにも、他のコチアの単協傘下のレジョナルで、新組合をつくり事業を継続しているところが何カ所かある。その事業量も合せれば、旧コチア産組のそれに近いものになるのではあるまいか。
一部の苦戦の噂は聞くが、今尚、善戦するコチアの残党たちは存在するのである。
補 筆
ロンドリーナの日系社会に関して、多少補筆しておくと、同市の日系人口は推定で5千家族という。地元の中心団体アセル=ロンドリーナ文化体育協会=は健在である。広い敷地と充実した施設が、初めての訪問者をビックリさせる。
州内の文協の連合組織アリアンサ(パラナ日伯文化連合会)は、呼称は今でもアリアンサで通っているが、正式にはリーガ・パラナ日伯文化連合会と変わっている。
これに属している文協は、かつては74団体あったが今は54団体、日本語学校は70校以上あったが33校になっている。その減少は寂しいが、それでもスポーツ、文化、日本語教育などの分野で、年間180のプログラムを実施しておるという。
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