ルーラ前大統領(労働者党・PT)に関する疑惑噴出を受け、野党側が、下院が開設する税務監理審議会(CARF)の不正に関する議会調査委員会(CPI)への召喚などの方法で前大統領にプレッシャーをかけると共に、ジウマ大統領の罷免に向けた動きを再活性化させようとしていると、15日付エスタード紙が報じている。
昨年12月にはじまった下院での大統領罷免審議は、反ジウマ派のエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)の支持者や民主社会党(PSDB)をはじめとする野党側の戦略で成立した特別委員会のシャッパを最高裁が却下した時点で、勢いをなくしたとの見方が一般的に強くなっていた。
だが、ルーラ前大統領に関する疑惑が浮上し続けていることを原動力とし、野党側がジウマ氏罷免に向けた動きを再び活性化する意向だ。
野党側が反撃の糸口にしようとしているのは、連邦警察のゼロテス作戦の元となったCARFのCPIだ。CARFでは銀行や大企業が有利な判決を得るために賄賂が動いていたとされている。
ゼロテス作戦では、CARF内の不正疑惑と並行して、ルーラ政権末期の09年以降、自動車業者の免税優遇政策延長を求める暫定令(MP)を議会で通過させるための裏工作が行われた可能性を捜査中で、ルーラ氏の三男ルイス・クラウジオ氏の企業にロビイストのマウロ・マルコンデス被告から250万レアルが支払われたことへの疑惑が取り沙汰されている。
同件ではルーラ氏付の秘書室長だったジルベルト・カルヴァーリョ氏や、ジウマ氏が大統領選出馬のために官房長官を辞した後、後任となったエレニセ・ゲーラ氏の関与も疑われている。ルーラ氏や三男、カルヴァーリョ氏、ゲーラ氏は現時点では同作戦の捜査対象となっていないが、野党側はCARFのCPIにルーラ氏を召喚し、事実関係を明確にすることを強く希望している。
野党側が強気になった背景には、1月に入って明らかになりはじめた、サンパウロ州グアルジャーの三層高級住宅やアチバイアの別荘といった疑惑の物件の存在がある。前者は1月のラヴァ・ジャット作戦の捜査対象にもなり、同作戦の主要汚職企業OASとの関係への疑惑が取り沙汰されている。
ルーラ氏のことが問題となってもジウマ大統領本人や現政権の問題ではないため、直接は罷免につながらないが、野党側は、ルーラ氏とジウマ氏は一心同体で、「PT政権による政治腐敗」の印象を社会的に強くアピールすれば、ジウマ氏罷免の勢いを世間が後押しすることにつながりうると見ている。18年の大統領選再出馬が有力視されているルーラ氏にダメージを与えることも野党側の思惑のひとつだ。
CARFのCPIの報告官はジョアン・カルロス・バセラール下議(共和党・PR)が務め、委員長は、17日のPMDB下院リーダー選後に同党下議から選ばれる。
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