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ネッタイシマカ=ボウフラ駆除剤に問題?=アマゾンでバイオ製品開発

 デング熱やチクングニア熱、ジカ熱を媒介するネッタイシマカ対策は世界的な課題となりつつあるが、蚊のボウフラを駆除するための薬が小頭症を引き起こす要因となっているのではないかとの声が上がり、同薬使用を中止する州が出てきた。
 妊婦がジカ熱に感染した事が原因と見られる小頭症児増加は、ブラジルの医療関係者が世界に先駆けて報告し、その後も因果関係を示すと思われる例が確認されている。
 だが、ジカ熱に罹患した事で起きる病気は小頭症だけではない。ブラジル国内では、誕生時の頭囲は正常だが、頭蓋骨の中は脳よりも水の方が多い子供も見つかる、視覚や聴覚の障害なども確認されるなど、様々な症例が見つかっており、一種の先天的症候群として扱う方向で動いている。
 また、ブラジルやホンジュラスでは、ジカ熱感染後に自己免疫傷害のギラン・バレー症候群を起こす患者の増加が確認されている。
 ジカ熱と小頭症の関係が騒がれだした事で言われ始めたのは、ピリプロキシフェンと呼ばれるボウフラの駆除剤がジカ熱の影響を増幅し、小頭症児の増加を招いているのではないかという説だ。ピリプロキシフェンは、ボウフラが湧きそうな所にまいてボウフラや蚊の卵を殺す薬だが、ジカ熱が流行した国はブラジル以外にもあったのに、小頭症児増加といった報告はなかったため、この薬がジカ熱感染に伴う種々の病気を増幅させている可能性があるという声がアルゼンチンの科学者の中から沸き上がり、ネット上で流れた。
 こういった説をうけ、リオ・グランデ・ド・スル州ではボウフラ駆除のために同薬を使うのを中止したが、ブラジル保健省は適正な使い方をしている分には安全上の問題はないとしている。
 これに対し、アマゾナス連邦大学(Ufam)と国立アマゾン地方研究院(Inpa)が同地方の植物や虫に生じる菌類を使い、3年間かけて開発、研究中の駆除剤は、植物に吹きかけたり水溜りに投げ込んだりすれば24時間以内にボウフラや卵を死滅させるが人畜無害という優れもので、大半は既に、農業で病虫害が起きた時に使うために農務省の承認も得ているという。
 菌類を使った駆除剤は生産コストも安く、環境への影響も小さいが、問題はまだ大量生産や商用化のための技術移転が出来ていない事。アマゾナス州政府の支援も受け、バイオ技術を駆使した製品は製造も簡単とされ、早期の技術移転と量産体制作りが待たれている。(17、18日付G1サイトなどより)