ホーム | ビジネスニュース | ウジミナス=15年は36億レの赤字=民事再生に至る可能性大=気になる支配会社の出方
進退も問われ始めたウジミナスのソウザ社長(右)(Antônio Cruz/Agência Brasil)
進退も問われ始めたウジミナスのソウザ社長(右)(Antônio Cruz/Agência Brasil)

ウジミナス=15年は36億レの赤字=民事再生に至る可能性大=気になる支配会社の出方

 新日鉄住金とアルゼンチン系のテルニウムが29・45%と27・66%を共同出資、ラ米最大の鋼板メーカーでもある製鉄会社ウジミナスが、15年度に大幅な赤字を計上、民事再生法適用寸前に陥っている。
 19日付エスタード紙によると、18日発表の15年第4四半期決算は6期連続の赤字で、その額は、前年同期の1億1700万レの14倍の16億2700万レに達した。昨年の赤字も36億8500万レで、2億800万レの黒字だった14年度から一転した。
 同社の経営悪化は、中国経済の減速化などによる世界的な鉄鋼需要減少と製品のだぶつき、国内の不景気など、鉄鋼業界共通の問題と、新日鉄とテルニウムという主要株主の不仲が原因と報じられている。
 両社の関係は14年9月、テルニウムが指名したフリアン・エグレン社長ら経営陣3人が不当な報酬を受け取ったとして解任されて悪化。新日鉄側には、短期的な収益確保のための経費削減で設備投資や技術力向上が遅れた事も不満だった。
 15年はテルニウムが実質的に経営参加しない上、世界的な需要減で業績は更に悪化。12日付エスタード紙によれば、ミナス州イパチンガとサンパウロ州クバトンでは五つの高炉中三つの操業を停止。1月のクバトン製鉄所閉鎖では4千人の従業員が解雇されたが、組合側は当時、内外あわせて3万人規模の解雇が起きるとの見方を示していた。
 現在のウジミナスは操業する程負債が膨らみ、このままでは3~6月に運転資金が底をつくが、新日鉄はテルニウムが合意しなければ増資に応じぬ意向で、双方に無縁の社長をたてて会社再建を図る事を考えている。
 新日鉄とテルニウムも鉄鋼界共通の問題の影響下にあり、16日付フィナンシスタ・サイトは、新日鉄の昨年末の運転資金は9億4400万ドル(38億レ)で、単独で負債を肩代わりするのは困難と報道。テルニウムも昨年9月末の資金が2億ドル程度で、債権者の一部が主張する20億レ投入はかなりハードルが高い。債権者の中には、主要株主らが10億ドル(40億レ)を投入しない限り、交渉に応じないと言う人もいる。
 ロメル・デ・ソウザ社長らは資産売却などで資金確保を図る意向だが、第4四半期の赤字決算を受けて18日の株価は13%下落。売却資産の買い叩きは明らかで、3月第1週開催の経営審議会の行方が注目される。
 ブラジル鉄鋼業界は一様に不況に喘いでおり、1月の粗鋼生産量は昨年同月比17・9%減の245万1千トンに止まった。