ブラジル不況による失業の波は、熟練労働者や高学歴労働者にも迫ってきていると22日付エスタード紙が報じた。
全就労・失業者台帳(Caged)によると、昨年は大卒や大学中退の正規雇用者の枠が11万5千人分減少した。
04年から14年にかけて、大卒者、大学中退者向けの正規雇用は常に増大してきた。国内総生産(GDP)が7・6%伸びた10年には30万6千人分の枠が増えている。人手不足は14年初頭まで続いたが、政界汚職事件の捜査、ラヴァ・ジャット作戦と、予想を上回る経済状況の悪化により、売り手市場だった大卒者らを取り巻く環境も変わっていった。
リオ連邦大学(UFRJ)教授のジョアン・サボイア氏は、「熟練労働者や高学歴労働者達が職を失うのは最後の局面だ。企業達はギリギリまで彼らを守ろうとする」と語った。
高卒者の場合、就業者と失業者を差し引きした数値は10年、11年のプラス100万人が大幅に減り、15年にはマイナス49万人となった。「昨年は13年と14年に増加した分と同じ分の正規雇用が失われた。今年はさらに2年分の雇用増加分が失われる」とサボイア教授は語り、「雇用の増減は好況時も不況時も、景気変動から遅れてやってくる。企業は賃金の代わりに他のところを切り詰めようとする。この傾向はここ数年、既に目に見えていた。GDPが伸び悩んでも雇用の減少は起きなかった」と続けた。
リオ、サンパウロ市、ポルト・アレグレ、レシーフェ、サルバドール、ベロ・オリゾンチの6大都市圏では失業率が10%を超えるだろうと語るのは経済評論家のアレッサンドラ・リベイラ氏で、ブラジル全土を網羅する全国家庭サンプル調査での失業率は13%に達すると見ている。昨年の両調査での失業率は6・9%と9・0%だった。
サボイア教授は雇用が回復し始めるのは18年からと見ており、それまでは更に多くの国民が求職の列に並ぶ事となる。