【既報関連】連邦政府とサンパウロ州政府は、サンパウロ市ブタンタン(B)研究所が開発中で、テスト最終段階に入ったデング熱ワクチン(VD)を、ジカ熱ワクチン(VZ)を兼ねた多種型に転用する可能性を探っていると23日付フォーリャ紙が報じた。
VDをVZも兼ねたワクチンにとの意向は、ジウマ大統領(PT労働者党)とアウキミンサンパウロ州知事(PMDB・民主運動党)の出席を得、22日にサンパウロ市で開催されたイベントの中で表明された。この席では、VD製造に保健省予算から1億レアルの資金援助を行う事が発表された。
デング熱と同じネッタイシマカが媒介するジカ熱の蔓延が世界規模で反響を巻き起こす中、連邦政府がVZも兼ねたVD開発の意向を表明したのは初めてだ。B研究所は08年よりVD開発を進めており、1回の接種で4種のウイルスに対応するVDの実用化は18年の見込み。同研究所でのVD開発に国が資金を提供するのも初めてだ。
サンパウロ総合大学(USP)研究員で、シリオ・リバネス病院の伝染病医でもあるエスペール・カラス氏は、「VDからVZも製造するアイデアは大変興味深いが、そのためにはジカウィルスの特質を見極めなくてはならない」と語った。15年のデング熱患者数は160万人を超え、最多記録を更新した。
ジカ熱は小頭症などとの関連が疑われるようになり、世界的な反響を呼んだ。昨年10月以降、現在までに確認された、ジカ熱感染との関係が明らかとなった小頭症児の症例は508件、3935件は現在も調査中だ。
B研究所でのVD開発は、安全性をテストする第1、第2段階を終え、1万7千人のボランティアに接種しての効能検査(第3段階)に入った。
ジウマ大統領は前述の1億レアルの他に、科学技術省と社会経済開発銀行(BNDES)を通じて2億レアルを追加支援する事を約束した。
一方、22日、サンパウロ州リベイロン・プレット市保健局が、ジカ熱の症状を呈した後にギランバレー症候群を患った57歳の男性が19日に亡くなったことを確認した。
同症候群は四肢が麻痺し、重症化すると死に至る。通常は細菌感染が原因だが、最近はジカ熱感染者の発症例が増えており、懸念されている。
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