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ムーディーズも遂に格下げ=一気に2段階引き下げる

 世界3大格付会社の中で唯一、ブラジルは「投機資格あり」としていたムーディーズが24日、ブラジルの格付を一気に2段階下げた上、新たな格下げの可能性を示唆する「ネガティヴ」の範疇に置いたと同日付伯字紙サイトが報じた。
 ムーディーズによる格下げは、昨年12月に格付見直しが示唆されて以来、予想されていた事だが、「投資資格あり」の最後のBaa3からジャンク級でも2番目のBa2へ2段階格下げされた事と、現状はネガティヴとの評価は、ブラジル経済が相当悪化しており、短期間で回復する見込みは薄い事を意味する。
 ムーディーズは格下げの理由に、経済成長が落ち込んでいる中でブラジルへの信頼指標が更に悪化している事と、公的負債が国内総生産(GDP)の80%を超える可能性がある事を挙げている。
 格付会社の懸念を更にあおるのは、ブラジルの窮状は経済面のみではなく、政治的な危機も反映したものである事だ。今回の格下げは、政治改革や財政改革の方向性が打ち出せず、景気刺激策に着手する事も出来ない実態を世界中に明らかにした。
 現在のブラジルの格付は、フィッチがジャンク級でも1番良いBB+、ムーディーズとスタンダード&プアーズは共に、ジャンク級で2番目のBa2とBBだ。これら3社は皆、格下げと同時にネガティヴ評価をしており、公的財政の健全化や経済活動活性化で目に見える結果を出せない限り、近い将来、再度格下げとなる可能性も強い。
 今回の格下げを受け、財務省は「格下げによって財政調整の方針が変わる事はない」との声明を出したが、野党側からは次々と、「今回の格下げはジウマ大統領の政権運営のあり方が原因で、国際的な競争力の更なる低下や失業率の上昇、経済的な混乱の深刻化を招く」など、現政権を批判する声が上がっている。