連邦警察のゼロテス作戦第5弾が25日に行われ、鉄鋼大手ゲルダウの現社長ら幹部3人が、財務省税務監理審議会(CARF)内で行われた不正をに関し、連邦警察に召喚され、証言を行う事態が起きた。この件は、連邦政府や労働者党(PT)をさらに揺るがしかねないと、26日付伯字紙が報じている。
ゼロテス作戦は、税申告に関する罰金や滞納金に関するCARFでの審理が有利になるよう、企業が判事たちに対して贈収賄を行っていた疑惑を解明するためのものだ。CARFは財務省内の裁判所的な存在で、昨年3月から11月の第5弾まで、様々な容疑に関わる捜査が展開されてきた。
第6弾はその後も罰金軽減などを図ろうとしている企業を標的としており、計20人が警察に出頭して供述するよう命じられた他、サンパウロ州、南大河州、リオ州、ペルナンブッコ州、連邦直轄区の計17カ所で家宅捜査が行われた。
最も注目されたのは3幹部が召喚されたゲルダウ・グループ(G)で、アンドレ・ゲルダウ社長は25日午後、サンパウロ州連邦警察で種々の説明を求められた。
ゲルダウGにまつわる疑惑は、2014年に抱えていた計15億レアルの罰金を、元CARF判事の弁護士事務所や銀行などの仲介で軽減しようとしたことだ。
ゲルダウGがロビイストとして選んだ一人は、CARF元判事で、昨年10月に同作戦で逮捕された、SGRコンスウトリアのジョゼ・リカルド・ダ・シウヴァ容疑者だ。シウヴァ容疑者は、ルーラ政権とジウマ政権にまたがる2010~11年に、自動車産業界に対する税の優遇処置延長を認める暫定令(MP)を議会で通過させるために贈収賄工作を行った容疑で逮捕された。
連警によると、ゲルダウGは同社への罰金軽減を目論み、シウヴァ容疑者やその周辺の人物に68万7千レアルを流したと見られている。
今回の件はPT、ならびに連邦政府にとって、ルーラ前大統領の高級住宅不正購入疑惑や、アチバイアの別荘を巡る種々の疑惑、選挙参謀のジョアン・サンターナ氏の収賄容疑での逮捕に続く痛手となる可能性が出てきている。
その理由のひとつは、ゲルダウG前社長で、アンドレ社長の父親のジョルジュ・ゲルダウ氏が、連邦政府直属の社会経済開発審議会(通称コンセリョン)のメンバーを創設期からつとめるなど、ルーラ氏やジウマ氏ときわめて密な関係にあることだ。
また、前述のMP疑惑の際、シウヴァ容疑者と共に逮捕されたマウロ・マルコンデス容疑者が、ルーラ氏の三男が経営する企業、LFTマーケティング・エスポルチーヴォに疑惑の金240万レアルを支払っていたことなどで、ルーラ氏も証人の形で事情聴取を受けている。