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Vale=442億レの赤字計上=原料価格下落レアル安影響=負債削減に資産売却進める

 ブラジル最大手の総合資源開発企業であるVale(V)社が、昨年15年の決算で、97年の民営化以来初となる、442億レアル(121億ドル相当)の赤字を記録し(14年は9億5400万レの黒字)、赤字補填のために資産売却プログラムを拡大すると26日付伯字各紙が報じた。
 V社は現在、289億ドルの負債を抱えている。コモディティの国際価格下落で収益が予想を大幅に下回った。また、まだ採掘の余地がある鉱山などの見込み資産額も大幅に低く計算しなくてはいけなくなった。V社の債務の多くはドル建てのため、レアル安も債務拡大の一因となる。
 1986年から市場公開しているブラジル企業の財務状況を調査している投資コンサルタントのエコノマティカ社によれば、15年のV社の赤字額は、調査開始以来、最悪の数値だという。
 ムリーロ・フェレイラV社社長は「我々は債務削減のために、コア事業の売却を含む、更に思い切った策を検討中だ」と語った。
 15年は、V社以外の大手鉄鋼会社も赤字を記録した。アングロ・アメリカン社は55億ドル、リオ・チント社は12億ドルの年間赤字を記録し、BHPビリトン社は15年下半期だけで57億ドルの赤字だった。
 V社が国外で行っている採掘の中で最も影響を受けたのは、06年に採掘権を取得したカナダでのニッケル採掘で、資産価値は134億レから92億レに下落した。モザンビークと豪州での石炭採掘も、117億レから70億レに下落した。
 ルシアノ・シアーニV社財務部長は、コモディティ価格の下落とレアル安は、鉱山などの資産の評価額が落ちたり、ドル建て債務が膨らむなど、会計上のことで、当面の資金運用には影響しないと語った。
 V社は15年に35億レ分の資産を売却したが未曾有の赤字計上を避けられなかった。昨年売却した資産は「周辺部門」にあたる造船やエネルギー、物流部門だが、今後の資産売却には、肥料やニッケル、銅、石炭、鉄鉱石といったコア事業も含め、負債額を40%削減する意向だ。
 昨年11月にミナス州マリアナ市で発生したサマルコ社のダム崩壊に関しては、V社の責任範囲を明確にするまでは損失額を計算できないから、今回決算には損失を計上しなかったと説明した。