クリスチーナ前大統領らを告発し、議会での証言直前の15年1月に謎の死を遂げたアルゼンチンの連邦検察官アルベルト・ニスマン氏に関し、司法当局関係者が「殺害説」を有力視する見解を初めて示したと、26日付伯字紙が報じている。
事件当初、亜国政府や同国検察庁は「自殺説」を唱えていたが、25日に刑事犯罪を担当する検察官が、「他者から銃で撃たれた可能性が高い」との説を出した。この見解は、同件の裁判の担当者を決める3月の会議にも影響しそうだ。
ニスマン氏の妻は事件当時から自殺説を疑い、民間の鑑識官に捜査を依頼していた。検察と並行して行われた捜査は昨年3月に終了したが、公式発表された捜査内容と矛盾する点が多く、死体の位置や銃の軌道などから他殺説が強まった。
ニスマン氏は、1994年にブエノス・アイレスで起き、85人の犠牲者が出た、イラン人によるユダヤ人協会本部爆破事件に関し、イラン側に罪を問わない代わりに貿易での密約を交わしたとして、カルロス・メネム元大統領らと共に、当時のクリスチーナ大統領を告発していた。
昨年12月に野党側の代表として当選したマウリシオ・マクリ大統領は、当選直後にイランとの密約破棄を宣言しており、ニスマン氏の死に関しても再捜査が確実視されていた。
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