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中国リーグに巨額移籍した昨年の全国選手権最優秀選手レナト・アウグスト(Rafael Ribeiro/CBF)
中国リーグに巨額移籍した昨年の全国選手権最優秀選手レナト・アウグスト(Rafael Ribeiro/CBF)

中国サッカー移籍市場終了=ブラジル・サッカー界の脅威

 2月26日、中国サッカー・リーグの冬の移籍市場が締切日を迎えた。年明けから大量に有力選手を買われたブラジル・サッカー界にはひと安心といったところだ。
 中国は世界のサッカー界にとって大きな台風の目となりつつある。歴史が浅く、サッカーのレベルも決して高いとは言えないが、経済の急成長と共に、同国のサッカー・リーグ「スーパー・リーグ」を盛り上げようと必死だ。
 チームのレベルはともかく、ことオーナーの財力に関して言えば、スペインのリーガやイングランドのプレミアと同等かそれ以上。財力を笠に、選手の移籍交渉でも太っ腹な札束攻撃がかけられるが、現在、その最大のターゲットとなっているのがブラジル人サッカー選手だ。
 こういった流れのきっかけとなったのは、現在同リーグのチャンピオンの広州恒大が、エウケソンやリカルド・グラールといったブラジルからの助っ人選手で成功したことなどで、この流れに山東魯能、江蘇蘇寧、天津権健、北京国安といったチームが加わって、争奪戦が激化している。
 ブラジル国内で最も影響を受けたのが、昨年の全国選手権優勝チームのコリンチャンスだ。同チームはレナト・アウグスト(北京)にジル(山東)といったセレソン・クラスの選手に加え、ジャジソン(天津)、ラルフ(北京)と主力選手を根こそぎ奪われた。
 また、中国のチームの中で財力が注目されるのが江蘇だ。このチームは、イングランドのリバプールが狙っていたシャフタル・ドネツクのストライカー、アレックス・テイシェイラを2億1600万レアルという、巨額契約金で獲得した。同選手はブラジル代表(セレソン)には1度も選出されていないにも関わらず、契約金はネイマール、カカー、フッキに続く歴代4位の高額だ。
 その他にも、財力に物を言わせ、イングランドの名門チェルシーからラミレス、14年W杯のフォワード、ジョーの獲得にも成功している。
 中国側の契約の特徴は、欧州リーグの名門で主力として活躍するブラジル人や、将来は欧州移籍が確実な20歳前後の選手はまず狙わないことだ。この辺は、いきなりセレソン・レギュラー級の大物選手の獲得に走っていた発足当時のJリーグと違うところだ。
 彼らが狙うのは、ブラジル国内での実績があっても年齢が高く、移籍金がかかり、活躍期間も限られる、欧州側が手を出しにくい20代半ば以降の選手だ。彼らなら即戦力にもなるし、欧州市場では低く計算されがちな選手にも高い契約金を払うため、選手のプライドも満たされて話が成立しやすい。どうやら、そこを突かれている観があるようだ。最近はブラジル選手だけでなく、コロンビアやアフリカの選手も標的とし、さらなる拡大を狙っている。
 冬の移籍市場はこれで終わるが、6月には夏の移籍市場がはじまり、ブラジル・サッカー界では戦々恐々とした日々がまた始まりそうだ。(2月28日付アゴラ紙より)