ジウマ大統領(労働者党・PT)は2月28日、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相(PT)の辞意を正式に受理した。後任にはジャッケス・ヴァギネル官房長官(PT)とのつながりから、ウエリントン・セーザル・リマ・エ・シウヴァ氏が就任することとなった。1日付伯字紙が報じている。
カルドーゾ法相の辞任は、ラヴァ・ジャット作戦の捜査がルーラ前大統領にまで及んだことと、ルーラ、ジウマ両大統領の選挙参謀だったジョアン・サンターナ容疑者が逮捕されたことで、PT内での「法相が検察庁と連邦警察を制御できていない」との不満が一気に高まったことが原因だ。ルーラ氏自身も昨年から折にふれ、カルドーゾ氏に対する不満を漏らしていた。
カルドーゾ氏は第1期ジウマ政権発足当初からの閣僚で、アルチクラソン(政局調整)のメンバーでもある。過去5年間、ジウマ政権の中枢を担っていたが、遂に法相離脱となった。
カルドーゾ氏の後任に選ばれたのは、ウエリントン・セーザル・リマ・エ・シウヴァ氏だ。同氏はバイア州の検察官で、ヴァギネル長官がバイア州知事をつとめていた2010年に同州検察局長に就任し、2014年まで2期に渡り局長職をつとめた。
今回の人事に懸念の声を上げているのは連邦警察だ。連警警察警部協会は、カルドーゾ氏を辞任に追い込んだのは「連邦警察の行動をコントロールしようとする政治的圧力だ」として、強い懸念を表明した。カルドーゾ氏は、連邦警察は政府からは独立した機関で、法相といえども捜査には干渉出来ないという立場を貫いており、連警との関係も良好だった。
一方、捜査方針や捜査の範囲などで連警と対立することもあった検察庁は、歓迎ムードでこの人事を受け入れた。ロドリゴ・ジャノー長官の右腕でもある検察官は、「ラヴァ・ジャットの捜査を妨害するために法相に検察官を選んだとは考えがたい」と語っている。
セーザル氏は2010年のバイア州検察局長選出時に、局内選での得票が3位だったのにヴァギネル氏の鶴の一声で局長に就任したという経緯がある。野党・民主党(DEM)の州議員の一人は「バイア州の粉飾決済疑惑の調査をとめられた」と疑問の声を上げているが、同じくDEM所属でサルバドール市長のACMネット氏とは良好な関係を保っている。
なお、カルドーゾ氏はジウマ大統領の要請で国家総弁護庁(AGU)長官に就任するが、連警総裁の異動はない。連邦政府は同日、国庫庁(CGU)長官に、バイア州出身で同庁事務局長を長年つとめた汚職対策の専門家、ルイス・ナヴァロ・デ・ブリット氏が就任することも発表した。
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