【既報関連】多くのブラジル人は、妊娠中にジカ熱にかかり、胎児が小頭症と確認された場合でも、中絶する権利はないと考えていると2月29日付フォーリャ紙が報じた。
同紙によると、ジカ熱罹患、小頭症未確認の場合、中絶反対58%、中絶容認32%で、10%は無回答だった。ジカ熱罹患、小頭症確認の場合は、中絶反対51%、中絶容認39%、10%が無回答だった。
ブラジルでは昨年10月以降、既に583件の小頭症が確認された。内9割は北東部でのものだ。
中絶に関する忌諱感が強いのは女性で、ジカ罹患、小頭症未確認の場合の「中絶反対」は、女性が61%、男性が53%だった。ジカ罹患、小頭症確認の場合の「中絶反対」は、女性56%に対し、男性46%だった。
ジカ熱の脅威は、中絶の是非に関する国内の議論を再び引き起こした。ブラジルでの中絶は、母体に危険が及ぶ、強姦による妊娠、無脳症という三つのケースに限って認められており、違反した場合は3年以内の懲役刑となる。現行法では違法にも関わらずジカ熱に罹患したことで、中絶に走る妊婦も出ているという。
一方、2月28日付エスタード(E)紙は、小頭症児を出産したペルナンブコ州の母親達がメッセージ送信アプリケーション「ワッツアップ(WA)」を使い、励ましあっている様子を伝えている。
「みんな、うちのアルトゥールが初めて笑ったわ」―。真夜中の2時25分にメッセージを送ったのは、小頭症で生まれた生後4カ月の息子を持つマリア・ロジレーネ・メスキータさん(39)だ。携帯電話の向こう側では同じ境遇の母親達がそれを祝福し、希望を新たにしていた。
WAは小頭症の子を持つ母親達に新たな活力や自己受容の力を与えている。今では約100人の母親が、互いの経験、心配事、要望、困難の克服体験を共有している。
小頭症児の母親の多くは低収入だが、WA利用者達の「天使の母親連合(UMA)は、非政府団体の「難病の子供を持つ母親や家族連盟(Amar)」と改名。専門の医療機関のあるレシーフェへの交通の便の制限解消や、一向に進まない母親への経済支援体制確立を目指し、自治体に圧力をかけていく意向だ。