「密輸撲滅の日」の3日、全国各地で密輸の増加や政府の取り組みの甘さに対する抗議行動や啓蒙のための集会が開かれたと3日付フォトス・プブリカスや4日付フォーリャ紙などが報じた。
マット・グロッソ州カンポ・グランデで開催されたセミナーでは、連邦警察が昨年押収した密輸煙草は55万6900箱、密輸品保管倉庫230箇所を閉鎖、少なくとも1500人を逮捕した事などが発表された。
3日付エスタード紙によれば、国内で流通している煙草の67・44%は密輸品で、15年は337億箱が密輸された。密輸品の押収率は5~10%で、昨年第1四半期に押収された密輸煙草は3億4200万レ分、ブラジルの煙草業界の損失は49億レと見られている。
ブラジル国内の煙草生産量は増税毎に減っており、正規の煙草流通量は年平均8%減っているが、非正規の流通量は年9%増えている。ここ数年間で密輸の影響を受けた煙草業者や販売店は16万と40万、正規雇用も3万人は減っている。
密輸品が最も流入しやすいのは伯、亜、パの3カ国の国境が接するパラナ州フォス・ド・イグアスだ。パラグアイは海がなく、ブラジルの港に持ち込まれた品は通関も経ずに同国に送られるが、ブラジル関係者は、工業製品だけで約100億ドルという品の大半は中国製で、その多くはブラジルで違法販売されていると見ている。
煙草以外の品で密輸品が占める割合は電化製品15・42%、情報機器5・04%、衣類3・03%、香水2・45%など。企業家は年1150億レの損失を被ったというが、密輸品の売上は7820億レともされる。14年は15部門での密輸品売上が650億レ、それによる税収減は293億レと見られていた。
ブラジルの密輸の取締り担当官は2924人。米国は2万人、ドイツは4万人とされ、国境線2万3102キロ、海岸線7367キロという国で、空港や港、ターミナルなどの管理をするのは到底無理な人数だ。