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路上でチョコ売り学費を稼ぐ=医学部目指すカヴァルカンチさん

 サンパウロ州沿岸の都市サントスで、信号待ちの車にチョコレートを売る男性がインターネット上で話題になっている。

 ファビオ・カヴァルカンチさん(24)はことさらに生活が苦しいわけではないが、医学部に通う夢をかなえるため、サントス市サンヴィセンテ区の路上で見知らぬ人に助けを求める事にした。

 カヴァルカンチさんによると、医師になることは長年の夢だった。しかし、彼が信号待ちの車の運転手を相手に物を売り始めた元々の理由は、息子の養育費を支払うためだった。法学部を半年で休学後、「昨年2月に失業して状況が悪化。養育費を払うため、信号で物を売ろうと思いついた。非常にうまくいったので、今度は夢だった医学部に行くためのお金を貯めようとしているんだ」と彼は語る。

 家族は当初、その考えに賛成しなかった。「最初は少し恥ずかしかったけど、(信号でチョコを売ることは)他の職業と同じだと気付いた。次第に家族も私を理解し、受け入れるようになった」と語る。

 カヴァルカンチさんは当初、キャンデー(飴)を売っていた。仕事を紹介される事もあったが、待遇が充分ではなかったので断った。「初任給は1000~1500レアル。私にはそれでは不充分だった」と説明する。

 信号待ちの車にキャンデーを売り始めて数カ月後、カヴァルカンチさんはチョコレートを売る事を思いついた。カヴァルカンチさんはこのアイデアを母親の助けを借りて実現した。「私は工場で働いた経験があったし、工場にいた時から製品の改善も考えていた。チョコレートの製造、販売は成功し、以来、ずっとチョコレートを作っている。朝7時から午後4時までは自宅でチョコレートを作り、午後5時頃からそれを売りに路上に出るんだ」と説明した。

 カヴァルカンチさんは信号待ちの車への物売りでも「競争」があると言うが、面倒ごとは嫌だから、売り上げが良さそうな所を探して歩き回ることはせず、3カ月間同じ場所で販売し続けた。

 チョコを売る時は、医学部に進むという夢を書いたメッセージを添え、商品をサイドミラーに置いていく。「信じてくれない人もいるさ。がっかりして、メッセージの紙を外した事もある。でも、大勢の人が応援し、励ましてくれたから、もう一度、メッセージをつけて売る事にした」と語る。

 2月末、カヴァルカンチさんがチョコを売る現場をよく通る人がカヴァルカンチさんの話に感動し、チョコを売る様子を録画し、ソーシャルネットワークに掲載した。この投稿には、これまでに4万8千回以上の「いいね」がつき、1万1千回「シェア」された。

 カヴァルカンチさんはこうした形で注目を浴びる事を望んでいなかったが、少しでも売り上げアップにつながればと思いなおしたという。

 目標金額に達する日がいつになるかはまだわからないが、カヴァルカンチさんはそれまでチョコレートを売り続ける意向で、商品を買ってくれる人や支援してくれる人に感謝している。

 「私は11歳の時からいつも、何かを達成するために仕事をしてきた。この夢は必ずかなえたい。多くの人が助けてくれるから、頑張ろうという気になれるんだ」と感謝の弁を述べた。(3日付G1サイトより)