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ブラジル警察の暴力を国連が問題視=刑務所での拷問も止まず

 国連は、ブラジルでは市警、軍警、市警備隊などの保安関係公務員が罪を犯しても罰せられない現況を重視し、8日にも人権委員会に告発する意向を示している。
 国連人権特別報告者のファン・メンデス氏は、ブラジルでは警察官の殺人や拷問は日常茶飯事だと批判している。
 市警や軍警に関する問題は各州政府の責任だとして、法務省は報道陣の質問に答えなかった。
 「警察が職権を濫用して囚人や逮捕者に乱暴しても具体的な捜査は行われないし、そういう罪を犯した者が司法の場で捌かれる事も滅多にない」とメンデス氏は語った。
 同氏は続けて「こういう事件をお蔵入りさせるような動きを妨げるための独立した捜査機関は存在しておらず、警官や治安関係者が罰せられない事が、ブラジルの暴力犯罪増加を招いている。被疑者は刑務所では暴行が待っていると認識しているから、罪を認める事を一層拒むし、服役中に暴行を受けた受刑者は出所後に復讐しようとする。警察による暴力が罪に問われない事で、暴力の連鎖はますます激しくなる」と語った。
 メンデス氏は、1日に6人が警察の手で死亡したという13年のデータを引用し、警察による暴力犯罪は一過性のものではなく、恒常的な事実だと語る。過度の権力行使が起きた事件の大半は、警察が逮捕しようとしたら犯罪者が抵抗し(て銃撃戦などを起こし)たため、死亡したというものである事も、犯罪者を殺害した人物を裁判にかける事を難しくしているという。
 国連によると、ブラジルでは、保安関係の公務員による不当な暴力が疑われる事件で捜査が行われても、加害者が有罪判決を受ける例は220件につき1件だという。
 また、刑務所内で死亡する収監者も多く、2014年上半期の死者は545人、収監者10万人あたり167・5人が死亡した事になる。この数字は同年に世界中の刑務所内で死亡した収監者の約半分に相当する。(7日付エスタード紙より)