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日系陶芸家の足跡たどる= 「プロの手で映像化すべき偉業」=陶芸家・橋本白道さん

生駒さんと橋本さん

生駒さんと橋本さん

 「ブラジルにおいて、陶芸の歴史は日本人が作った」――島根在住の陶芸家・橋本白道さん(本名・力男、65)が、今年の1月8日に来伯し、3カ月かけて日系陶芸家の足跡を辿っている。代表的な陶芸家を訪ね、インタビュー映像を記録、「ブラジルの日系陶芸家は高齢になってきているが、今ならまだ間に合う。プロの手で、映像として記録を残しておくべき」と訴えた。

 さらに「各地を回ってみて、日本人であることが誇らしかった。先輩方が50年かけて、この素晴らしい陶芸の歴史を作り上げたことが分かった」と熱く語った。
 橋本さんはスウェーデンの大学で陶芸を学んだが、リトアニアの美術学校では映像を学び、ドキュメンタリー作家としての顔も持つ。現在は島根を拠点に陶芸活動を行なっている。
 05年から2年間、国際協力機構(JICA)の陶芸学校立ち上げのプロジェクトでドミニカ共和国に赴任した際、移民史を聞いて興味を持った。ブラジルの日系陶芸家の存在を知り、1月初旬に来伯、コチア、カンピーナス、クーニャなどの日系陶芸家を訪問した。50年前に来伯し焼き物を始めた鈴木章子さん、クーニャを焼き物の町として有名にした請関美重子さんや末長公子さんらに話を聞いた。
 日本では少なくなっている登り窯(斜面に沿って階段状に焼成室を並べる窯)も20以上見つけた。陶芸の隆盛を示すものであり、「南米ではブラジルが陶芸のトップランナーだが、それは日本人のおかげ」と語る。
 しかし跡を継ぐ人がいない工房もあれば、高齢で体調が良くない人も多く、故人となった陶芸家も。映像化するなら急ぐべきだと言い、「第一人者である鈴木章子さんがブラジルで焼き物を始めて半世紀が過ぎた。区切りとしてちょうどいい」と話し、「日本政府の文化関係機関やNHKなどで取り上げるべき内容」と訴えた。
 陶芸家の生駒憲二郎さんも「残しておけば、後世役立つ」と賛同した。橋本さんは今後、サンパウロ総合大学(USP)やカンピーナスのギャラリーで焼き物について講演を行い、陶芸家の本間秀子さんらをインタビューし、3月中旬に帰国する予定。映像化についての問い合わせは橋本さん(rikihas7@yahoo.co.jp)、または生駒さん(11・4666・4777)まで。