急増するジカ熱感染に対し、世界保健機構(WHO)は8日、妊婦に対して感染地帯への渡航を控えるようにとの異例の勧告を出し、性交渉による感染の確証もより高まったと発表したと9日付伯字各紙が報じた。
ジカ熱感染各国の保健機関には、ギランバレー症候群や小頭症の急増対策も求められている。
WHOが懸念しているのはラ米諸国31カ国でジカ熱感染が確認されている事だ。「今後はより多くの地域でより多くの患者が発生するだろう」とWHOは述べ、各国政府に、女性が妊娠をするかどうか決める際に的確な判断が出来るように、正確な情報を伝える事を求めた。
WHOは緊急会合から4時間後に初めて、ジカ熱が神経系疾患と胎児形成の不良に関連性がある事を認めた。しかし、科学者の間で意見の相違があるため、ジカ熱感染が小頭症とギランバレー症候群にだけ関連しているとの宣言は控えた。
マーガレット・チャンWHO事務局長は今回の宣言の理由を「女性達の間に不安が拡がっており、手をこまねいておれない状況だ」と発表し、「ジカ熱感染地域で妊娠すれば、非常に良くない結果を引き起こしうるのは明らかだ。移動を制限する法律はないが、妊婦はジカ熱感染地帯への渡航を控えるべきだ」と強い口調で発言した。
また、性交渉による感染が少なくとも4カ国で8件確認され、性交渉での感染が疑われる例が数十件ある事を挙げ、「ジカ熱対策は蚊撲滅だけでなく、性交渉による感染防止策も含むべき」と警鐘を鳴らした。
チャン事務局長はジカ熱の脅威は小頭症だけに留まらず、「小頭症はジカ熱が引き起こす、多くの異常現象の一つに過ぎない。その他にも流産、胎児の成長遅延、中枢神経系の損傷が起こる危険がある。ウイルスが胎盤を通過すれば胎児が感染して、脳の組織にも影響を与える」と語った。
今回のジカ熱流行の発端はブラジルで、ブラジルの医師らが小頭症などとの関係も指摘し始めたが、国内では研究継続のための資金が不足し、科学技術省が対応を迫られている。