ブラジルを代表するパーカッション奏者のナナー・ヴァスコンセロスが9日朝、入院先のペルナンブッコ州レシフェの病院で肺がんのため亡くなった。71歳だった。9日付伯字紙サイトが報じている。
1944年にレシフェで生まれたナナーは幼い頃から音楽、とりわけ打楽器に強い興味を覚え、1967年にリオに移ると、そこで後の大歌手ミルトン・ナシメントとの共演を行った。翌68年に歌手のジェラウド・アゼヴェドと共にサンパウロ市に赴き、活動の場を広げた。
1973年に初のリーダー作(楽器演奏者の出すアルバム)を発表すると、その前後から国際的なミュージシャンのセッションにパーカッション奏者として呼ばれることとなる。共演者はブルースの第一人者のBBキングや、ロックとワールド・ミュージックの架け橋となったバンドのトーキング・ヘッズ、ドン・チェリーやジャン・リュック・ポンティ、
パット・メセニーなどといった世界的なジャズの大御所にも及んだ。参加した作品中、八つがグラミー賞に輝いている。
また、音楽活動にとどまらず、慈善活動に熱心なことでも知られ、南米、欧州、アフリカの子供たちのふれあいプロジェクトの「リングア・マイン」を行ったほか、レシフェの貧民街でも音楽を通じた教育プログラムを行ったりしてきた。
肺がんを発症し、昨年も入院していたが、積極的に活動し、今年2月にはレシフェのカーニバルにも参加するなど健在振りを見せたが、2月28日のバイア州でのコンサートを最後に入院していた。