母県と県人会の新たな関係性を築く―鳥取県人会(本橋幹久会長)が2月14日に行った定期総会で、新事業「母県若人招聘事業」の説明を行った。昨年11月に「県費留学・研修50周年記念式典」を開催して、計99人の受け入れに対し県関係者に感謝の気持ちを伝えていた。今回は逆、母県の若者をブラジルに招待する新たな試みが実現されそうだ。
新事業は、鳥取県庁を通して県内の若者に募集をかけ、2週間の滞伯中に活躍する留学OBの姿を見てもらおうというもの。費用は県人会予算と留学OBによる基金で負担。今年7月から8月中に実施する予定だ。
本橋会長は「留学の経験がその後の人生に活きていることを見てもらい、帰国後に県内で広報活動をやってもらいたい」と取り組みの意義を話す。県人会から県に働きかけるという、かつてない取り組みだ。
発足の背景には03年から継続する「中堅リーダー交流事業」の成功があった。県人会と母県の間で、毎年交替で2人ずつ短期間の研修員交換してきた同制度、「日本から来る人はみな皆充実の表情で帰国する。もっと若い人を対象にしても良いと思った」という。
旅程はサンパウロ市内での県人会との交流、マリリアやイグアスなどが予定されており、各地域で留学OBが案内人を務める。日程によっては第二アリアンサ(鳥取村)の入植90周年式典参加も予定。同日本語学校には94年から現在まで県の現役教員が県費で当地に派遣されており、県との交流が強いところだ。
狙いの一つとして、「若いOB達が主体となって考える機会を作ることも重要。いつまでも他人ごとでは県人会の活動には参加してもらえない」とした。「毎年は出来なくても、数年に一回のペースで継続させていきたい」。なお、今年も4月から県費留学生、技術研修員1人ずつの派遣が決定しており、総会内で発表された。
その他にも3月末から行われる、アルモニア文協主催の「ブラジル・日本U―15サッカー交流大会」に鳥取県より42人の選手が出場することが報告された。昨年、中堅リーダー事業により来伯した県内小学校教諭で、サッカー指導者の拝藤均さんが主導しており、交流事業が成果となって表れている。