ブラジル・ドーピング防止協会(ABCD)は10日、リオ五輪出場を目指す、女子陸上200メートルのアナ・クラウジア・レモス選手(27)が年頭に受けたドーピング検査で違反薬物が検出されたと発表した。
検出された薬物はアナボリックステロイド(筋肉増強剤の一種)のオキサンドロロンで、女子選手も使用できる。副作用の危険性が低い経口アナボリックステロイドは当初、エイズなどの病気の治療や重傷の火傷を負った患者の健康維持、栄養失調を治すなどの目的で使われはじめた。
アナ選手は、女子200メートル走のブラジル国内ならびに南米記録の保持者で、メキシコのグアダラハラで開催された2011年のパン・アメリカン大会では金メダル二つを獲得。12年のロンドン五輪にも、200メートル走と400メートル走の一員として出場している。
同選手は、15年のトロントのパン・アメリカン大会では100メートル走の予選に初出場し、11秒を切る10秒96を出したが、風が強かったため、参考記録にとどまった。200メートルは筋肉痛を訴え、予選も途中退場した。
アナ選手は、今年前半は屋内の大会には出ない意向のため、3月にアメリカのポートランドで開かれる世界屋内陸上にも参加しない。4月からは屋外の大会に参加し始める予定で、リオ五輪でも個人種目2種(100、200)と400メートルリレーでの出場を視野に入れていた。
ブラジル体育協会(CBAt)はこの件に関する声明を発表していないため、現時点ではどのような処分が出るかなどは明らかになっていない。アナ選手は再検査を強く望んでいる。
アナ選手の場合はオキサンドロロンが問題となったが、アナ選手のスポンサーであるナイキが支援していた選手の一人で、薬物使用のためにリオ五輪への出場が絶望的になったとされるのが、女性テニスのスター選手マリア・シャラポワだ。シャラポワが使っていたとされる薬物は、今年1月に使用禁止となったメルドニウムで、昨年開催されたアゼルバイジャンのバクーでの欧州総合競技大会の参加選手は、メダリストを含む約500人が服用していた可能性があるという。
メルドニウムは米国食品医薬品局では認可されていないが、ロシアやリトアニアでは普通に用いられている抗虚血剤だ。9日には新たに、ジョージアの格闘技選手6人がメルドニウムを使っていたことが判明しており、ドーピングのせいでリオ五輪開催に出場できなくなる選手はまだ出てくると予想されている。(10日付グローボエスポルテ、同日付フォーリャ紙サイト、同日付エスタード紙などより)
シャラポワという薬物が主に問題視されており、がこれで陽性反応が出てしまったことで出場が絶望的になったほか、多くの選手で陽性が現れている。