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援助の感謝と支援求め=被災3県からメッセージ

 岩手、宮城、福島県人会が中心となり開催した『5周年追悼復興祈願祭』。開催にあたり、3県の知事から復興状況を報告するメッセージが寄せられた。追悼の意を込め全文を掲載する。


復興事業、着実に進展=10月に46年ぶり国体控え=岩手県知事 達増拓也

岩手県知事 達増拓也

岩手県知事 達増拓也

 本日、東日本大震災5周年追悼復興祈願祭が、ここサンパウロにおいて開催されますことを、岩手県民を代表して心から御礼申し上げます。
 時間の経過とともに、大震災津波の記憶の風化が懸念される中、遠く離れた御地ブラジルにおいて、宮城、福島、岩手の三県人会合同によりこのような催しが開かれることは、被災地で復興に取り組む私達にとりましても、多いに励まされるものであります。
 大震災津波の発災から本日で5年となりますが、岩手県では、全線開通した三陸鉄道南北リアス線に加え、昨年3月にJR山田線宮古~釜石間の復旧工事が開始され、県立高田高校の新校舎が完成しました。
 また、昨年7月には、大船渡市の仮設商店街が県内で初めて本設の商店街へ移転オープンし、11月には、青森県八戸市と宮城県仙台市を結ぶ復興道路の三陸沿岸道路のうち「吉浜道路」が開通して全体の43%が、12月には、東北横断自動車道釜石秋田線「遠野~宮守」間が開通して釜石・花巻間の79%が供用開始されるなど、安全、暮らし、なりわいを支える復興事業が着実に進んでいます。
 2016年は、復興計画における本格復興期間の最終年度であり、次のステージにつながる重要な一年であると認識しています。岩手県では、防潮堤の整備や浸水地域の嵩上げが進み、災害公営住宅や海岸保全施設の整備、復興関連の道路整備や市町村が行うまちづくり事業などの復興事業がピークを迎えますので、本格復興の完遂に向け、全力で取り組んで参ります。
 また、「広げよう感動―伝えよう感謝」をスローガンに、本年、岩手県で開催する「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の成功に向けて鋭意取り組んで参りますので、より多くの皆様の一層の御支援、御協力をお願いします。
 結びに、この度の5周年追悼復興祈願祭の開催に御尽力されました関係者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、御参会皆様方のますますの御活躍と御健勝を心からお祈り申し上げます。


県復興計画は折り返し=地下鉄開通、復旧加速へ=宮城県知事 村井嘉浩

宮城県知事 村井嘉浩

宮城県知事 村井嘉浩

 本日、ブラジル宮城県人会をはじめとする東日本大震災の被災3県県人会の共催の下、「東日本大震災追悼復興祈願祭」を開催いただきますことに、厚くお礼申し上げます。
 2011年の東日本大震災に際しましては、ブラジル宮城県人会の皆様をはじめブラジルの皆様からも多大な御支援や励ましの言葉をいただきました。また、震災から月日が経った今でもこのような催しを開催いただくなど、被災地に心を寄せていただいていますことに、あらためて心から感謝申し上げます。
 さて、早いもので、本日で震災からちょうど5年となりました。震災から10年での復興の達成を目指す「宮城県震災復興計画」もちょうど折り返しを迎えますが、いまだ応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされている方々も残されているなど、復興の道のりはまだ半ばです。
 しかし、こうした中におきましても、津波被災により一部運休となっていたJR仙石線が昨年5月に全面開通したほか、12月には仙台市地下鉄東西線が新たに開通するなど、明るい話題もございました。また、今年7月には仙台国際空港が民営化される予定となっており、更なる復興の加速が期待されます。
 皆様からの御期待に応えられますよう、今後も、被災者の生活の再生に向けた施設の復旧・復興やまちづくりを一層加速させるとともに、創造的な復興に向け県民一丸となって取り組んでまいりますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。


原発、風評…課題山積も=誇りある福島の実現へ=福島県知事 内堀雅雄

福島県知事 内堀雅雄

福島県知事 内堀雅雄

 本日、ここに「東日本大震災5周年追悼復興祈願祭」が執り行われるに当たり、福島県民を代表し、謹んで哀悼の言葉を捧げます。
 囲催に御尽力いただきました、被災3県の県人会役員の皆様、ブラジル日本都道府県人会連合会役員の皆様を始め、関係者の皆様に心から敬意と感謝の意を表します。
 東日本大震災から5年の歳月が経過しました。2011年3月11日午後2時46分。あの時から、私たちの取り巻く環境は一変し、今もなお多くの県民の皆さんが避難生活を続けています。
 また、本県は、廃炉、汚染水対策や、被災者の生活再建、除染による除去土壌の処理風評と風化の2つの逆風など課題が山積しており、残念ながら復興はいまだ途上であります。
 一方、ブラジルを始めとした世界中の方々からの温かい御支援と、県民の皆さんのたゆまぬ御努力により首都圏と東北地方を結ぶ常磐自動車道の全線開通、復興を担う人材を育成する「ふたば未来学園高等学校」の開校、大型観光キャンペーンによる観光地の賑わいなど、明るい光は着実に広がりを見せ、県内各地に笑顔が戻り、本県の復興は着実に進んでいます。
 ふるさと福島の復興を進め、将来世代に引き継いでいくためには、福島の「光」と「影」の両方を丁寧に発信しながら、新しい誇りを生み出していかなければなりません。
 県民の皆さんを始め、福島に想いを寄せていただいている国内外の多くの方々と手を携え、「生まれて良かった、住んで良かった、来て良かった」と思える誇りある福島の実現を目指して、果敢に挑戦を続けてまいりますので、引き続き御支援をいただきますようお願い申し上げます。
 結びに改めて皆様への感謝を申し上げ、挨拶といたします。