パラナ連邦地裁のセルジオ・モロ判事が9日、「ラヴァ・ジャット作戦(LJ)は危機の原因ではない」と明言した▼14年3月のLJ開始後、建設大手を筆頭に多くの企業が摘発され、社長や役員が逮捕、断罪される一方、ブラジルを代表する公社ペトロブラス(PB)役員も次々に汚職関与が露呈して失脚した。現在はルーラ前大統領の関与が取り沙汰され、逮捕請求も出ている。多くの人は、LJ開始後に始まったPBの決算不能と負債急増、造船業界の不審などをLJのせいと見る▼だが本当は、LJ後に起きた諸問題は、汚職によって順調に動いていたかに見えた経済に汚職による歪が現れただけだ。そういう意味では、LJは現在の危機の原因ではなく、隠されていた歪とその原因である汚職や不正を暴いたに過ぎない▼よくもこれだけと思う程の不正が次々に露呈し、庶民には想像さえ出来ない額の金が動く。数々の不正は国民から選ばれた大統領や議員、彼らが選んだ公社理事達を媒介として経済を動かし、虚構とも言える経済発展の図を描き出した。ルーラ氏は好調な経済を背景に支持率を伸ばし、労働者党(PT)は2人目の大統領擁立にも成功した▼だが、そのツケは急速な経済の減速となって現れ、失業率上昇や所得減少その他の形で多くの国民を苦しませている。デウシジオ・アマラル上議がジウマ氏もLJの捜査妨害を図っていたと供述した事が3日に漏れて以来、ルーラ氏の強制連行や起訴も続き、政権交代を見込んでか、株式市場や為替が大きく動いた。それもまた、汚職の影の暗い部分の表出だ。政界浄化は時間がかかるが、膿が出切らなければ、治るべき傷も治らない。(み)