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13日のルーラ氏(Adonis Guerra/SMABC)
13日のルーラ氏(Adonis Guerra/SMABC)

ルーラ=仰天の閣僚入り実現か?=逮捕請求モロ判事に委託で=「一般人扱い」を逃れるため=ジウマは歓迎し野党は訴訟も

 サンパウロ州地裁が14日、ルーラ前大統領(労働者党・PT)への逮捕請求に関する判断をラヴァ・ジャット作戦(LJ)を管轄するパラナ州連邦地裁に移すことを決めたことで、ルーラ氏の連邦政府入りがにわかに現実味を帯びてきた。ジウマ大統領の罷免回避を願う連邦政府やPTは16日にも、「逮捕を免れるための閣僚入り」という、世界でも類を見ないシナリオを実現する見込みと、15日付伯字紙やサイトが報じている。

 サンパウロ州地裁第4法廷のマリア・プリシラ・エルナンデス・ヴェイガ・オリヴェイラ判事は14日、サンパウロ州検察局が11日に請求した、グアルジャーの高級三層住宅を巡る、資金洗浄と名義人詐称の容疑でのルーラ氏の一時逮捕の決定を、LJで現職政治家以外の人物の裁判を管轄するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に託すことに決めた。
 それは、今回の件には、LJで共に15年以上の実刑判決を受けたOAS社のレオ・ピニェイロ被告や、元バンコープ社社長で後にPT中央会計となったジョアン・ヴァカリ・ネット被告らも絡んでおり、「LJに関連する事件」として扱うのが妥当と判断してのことだ。
 それを受け、かねてから噂されていた、逮捕回避策としてのルーラ氏の連邦政府閣僚入りが現実味を帯びてきた。
 閣僚入りすれば逮捕を逃れうるというのは、ブラジルの司法上の抜け道だ。ルーラ氏は現在、公務についておらず、「一般人扱い」となる。今回の逮捕請求が地裁に持ち込まれたのはそのためで、閣僚入りしてしまえば、裁判は連邦最高裁で扱われる。LJで告発された或いはされる見込みの連邦議員や閣僚らは、現行犯扱いでない限り、最高裁での結審後でなければ逮捕されない。最高裁でのLJに関する審理はまだ始まっていない。
 また、昨年11月にLJの捜査妨害で現行犯逮捕されたデウシジオ・アマラル上院議員(PT)が報奨付供述を行うことに決まり、PTや連邦政府には脅威の存在となった。同上議は既に「ジウマ、ルーラ両氏がLJの捜査妨害を行っていた」と供述済みで、15日も様々な供述の内容がネット上で流れている。
 ルーラ氏の閣僚入りはジウマ大統領も強く望んでおり、リカルド・ベルゾイーニ氏(PT)がつとめている大統領府総務長官就任が有力視されている。ルーラ氏の任務は議会や連立与党との調整や、経済立て直しの推進役を担うことのようだ。
 ルーラ氏が閣僚入りした場合、野党側は即座に最高裁に訴える構えだ。また、民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス党首らは既に、連立与党だがPT離れを模索する民主運動党(PMDB)の一部と、「ジウマ政権以降」についての話し合いを始めている。PMDBは12日の党大会で、30日以内に連立離脱の是非を決めることと、その間の新閣僚就任を禁ずることを決めた。