ブラジル日本交流協会(二宮正人会長)を通じ、当地の企業で研修中の8人が14日、サンパウロ州ノロエステ線グァララペス市を訪問し、姉妹都市の宮城県名取市との架け橋として交流事業を行った。同協会研修生が東日本大震災の復興支援事業として12年から継続している。
市庁舎にてエデニルソン・デ・アルメイダ市長、浜本マウリシオ市議、グァララペス日本人会の中上剛会長ら12人の歓迎を受けた後、団長の淀貴彦さん(24、大阪)が、ポ語訳を添えた名取市の佐々木一十郎市長の親書を手渡した。その後スライドを使って、被災地である名取市の現状を伝えた。8人の研修生は昨年4月からの滞伯を前に、被災地に足を運び仮設住宅の訪問などを行っていた。
研修生たちは仮設住宅に暮らす名取市民直伝の「閖上大漁節」の踊りを披露。グ市側も一緒になって輪を作り和やかな時間が流れた。またグ市側もお返しに、名取市民に向けたビデオメッセージを送った。
アルメイダ市長は今後の姉妹都市関係について「この町の発展は古くから日本人が支えてきた。名取から日本文化を伝えてくれる新たな事業が生まれれば歓迎する」と期待を話した。
この提携は1973年、グ市で雑貨店を営んでいた名取市出身の佐藤正吉さんが、市長の親書を携え里帰りをしたことで交流が始まった。79年に正式に締結し、05年から交流は途絶えていたが、大震災を契機に同協会の研修生が被災地の思いを伝えたいと交流を復活させた。
70年代に市議を務め、名取市へ二度訪問したことのある日本人会役員の三宮ネルソン明さん(80、二世)は「どういう形でも関係が継続されるのは嬉しい」と話した。
研修生の田中さやかさん(29、岐阜)は「私たちができることは少ないですが、今後の大きな活動に実ってくれることを期待しています」と話した。
一行は市庁舎を後にし市内各所を見学。友好記念公園(Praca Natori)では3本の植樹を行った。同事業で4年前に植えた樹が5メートル程にまで育っているのが見られた。研修生は一年間の研修を終え3月中旬に帰国する。次年度生も事業を継続させる意向だ。