16日、大統領官邸での話し合いで、ルーラ前大統領が官房長官に就任することを内諾した。だが、公職就任はサンパウロ州検察局が出していた訴状と捜査妨害回避のための逮捕を避けることが目的との印象は否めない。また、この内諾は、最高裁が14日に承認、15日に公表したデウシジオ・アマラル上院議員(PT)の報奨付供述で、ジウマ、ルーラ両氏共に様々な疑惑をあげられた直後だった。16日付伯字紙サイトが報じている。
ルーラ氏は4日に敢行されたラヴァ・ジャット作戦(LJ)第24弾で強制連行され、サンパウロ州グアルジャーの三層高級住宅やアチバイアの別荘に関する疑惑などに関して事情聴取を受けた。また、9日にはサンパウロ州検察局が三層高級住宅の件で同氏を起訴、11日はその件での逮捕請求も行われた。
同氏の閣僚入りの話は9日のサンパウロ州検察局による起訴直後から急浮上し他が、同氏を巡る一連の疑惑は、13日に行われた全国的な抗議デモが歴代新記録の参加者を記録した要因にもなっていた。
同氏は当初「(地裁での裁判や逮捕を避けられる)公職政治家の特権は必要ない」とし、閣僚入りに難色を示していた。
だが、13日のデモ後は状況が急転し、15日にブラジリアに向うと、大統領官邸でジウマ氏と4時間半話し合った。だが、当初噂をされていた大統領府総務室長官では折り合いがつかず、16日にも会談が行われた。
16日の会議はジャッケス・ヴァギネル官房長官とアロイージオ・メルカダンテ教育相、ネルソン・バルボーザ財務相も招いて行われ、ルーラ氏が官房長官への就任を受諾、ヴァギネル氏は大統領府総務室長官となる。
官房長官は財務相や企画相と共に経済政策の策定に関わるため、ルーラ氏の官房長官就任は、大統領就任期間中(2003~10年)に高い経済成長率を記録した経験を活かし、経済の立て直しを図ることを期待したものと見られているが、これを「ルーラ第3政権の開始」と呼ぶ声もある。
野党側はかねてから、「ルーラ氏の閣僚入りが決まった際は訴える」と公言しており、16日に行動に出た党もある。国民の反感も高まっている状況下、今後の動向が注目される。
奇しくも15日は、昨年11月にLJの捜査妨害で逮捕されたデウシジオ・アマラル上議の報奨付供述の内容も公開された。同上議の報奨付供述は最高裁でLJを管轄するテオリ・ザヴァスキ判事が14日に承認した。
同上議によると、ルーラ氏はLJに関し、ペトロブラス元国際部長のネストル・セルヴェロー被告に金を払って口封じするよう同上議に命じた。また、ゼロテス作戦でも自身の息子に金を払ったロビスタを議会調査委員会に召喚させないよう圧力をかけたという。
ジウマ氏に関しては昨年、官房長官だったメルカダンテ氏を介し、司法当局との交渉で同上議の釈放を図り、弁護士費用の支払う代わりに、報奨付供述に応じないよう求めたと供述している。
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