16日午前中にルーラ前大統領(労働者党・PT)の官房長官就任が明らかとなったのを受け、ラヴァ・ジャット作戦を管轄するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は同日午後4時過ぎ、連邦警察が2月下旬に開始した、ルーラ氏やその側近の電話に仕掛けた盗聴記録の公開を許可した。ジウマ大統領が会話の中で、ルーラ氏の逮捕や地裁での裁判を免れるための官房長官起用だったことをにおわせる発言をしたこともあり、同日夜は数多くの都市で抗議活動も起きた。17日付伯字紙が報じている。
連邦警察による盗聴の内、ジウマ氏との会話が流れたのは16日午後6時40分頃だった。マスコミが一斉に流したのはこの日の午後1時32分にジウマ氏とルーラ氏の間で交わされた会話で、ジウマ氏が「(官房長官付の司法補佐官のひとりの)メシアスが書類を持参します。必要なときに使ってください。閣僚入りの際の誓約書です」と言うと、ルーラ氏が「わかった。待っている」と答えている。
この発言が漏れたことで、ルーラ氏の閣僚入りは公職特権を得るためと判断した人々は、それがその夜の内に9州と連邦直轄区ではじまった抗議デモを加速させた。
連警による盗聴は2月下旬から16日にかけて行われ、ルーラ氏の会話が続々と公開された。
その中でも特に注目されたもののひとつは、元人権相で現在はルーラ研究所スタッフのパウロ・ヴァヌッシ氏との会話だ。ルーラ氏はエウジェニオ・アラゴン新法相に関し、「男の仕事をやってもらわないと。友達なんだから」とし、同法相にラヴァ・ジャットの捜査を規制することを願う発言を行っている。
また、ルーラ氏が4日に連警から事情聴取を受けた後にジウマ氏にかけた電話の中では、「この国は最高裁も高裁も腰抜けだ。丸っきり腰抜けの議員もいるし」と、司法、立法の両機関を愚弄するような発言も行い、上下両院の議長に関しても口汚く貶している。
また、7日には、ネルソン・バルボーザ財務相に対し、税務局が連警と共に行っているルーラ研究所に対する捜査を牽制する発言も行っている。
連邦政府は、これらの盗聴記録の公開を認めたモロ判事のことを「法を侵し国民を刺激した」と批判したが、同判事は「国民の強い関心に応えた」と主張している。
盗聴記録公開後、ルーラ氏の就任式は急遽、22日から17日に繰り上げられたが、16日の議会ではジウマ氏辞任を求めるシュプレヒコールが起きたほか、17日もミシェル・テメル副大統領が就任式出席を拒む、連立与党内で離脱を示唆する党が出はじめるなど、混乱は収まらない。
さらに就任式直後、連邦直轄区第4法廷のイタジーバ・カッタ・プレッタ判事が、「連邦警察の捜査妨害が認められる」として、ルーラ氏の官房長官就任と実務開始を差し止める命令を出した。
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