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ルーラ=官房長官就任は有効か?=地裁が差し止めの暫定令=最高裁にも10通の訴状=盗聴での発言に憤る判事も

 17日午前10時、前大統領のルーラ氏(労働者党・PT)の官房長官就任式が行われたが、連邦直轄区とリオの連邦地裁判事が同日、就任と実務差し止めの暫定令を出した。最高裁にも野党側から就任無効を求める訴状10通が届いており、就任が有効かどうかは微妙な状況となっている。17日付伯字紙が報じている。

 就任差し止めを行ったのは、連邦直轄区地裁のイタジーバ・カッタ・プレッタ判事と、リオ地裁のレジーナ・コエリー・フォルミザーノ判事だ。ルーラ氏の官房長官就任は、サンパウロ州グアルジャーの高級住宅にまつわる資金洗浄と名義人詐称の容疑でサンパウロ州検察局が出し、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に託された逮捕請求や、サンパウロ州アチバイアの別荘問題も含めたラヴァ・ジャット作戦関与による連邦警察からの逮捕回避と、捜査妨害のためと疑われている。
 国家総弁護庁(AGU)は17日に上告し、連邦直轄区地裁の暫定令却下に成功した。リオ地裁のものも18日午後3時過ぎに取り消された。
 前大統領の官房長官就任では、最高裁にも17日、民主社会党(PSDB)、社会大衆党(PPS)、ブラジル社会党(PSB)など、野党からの訴状10通が提出された。内6通はジウマ政権に最も批判的とされるジウマール・メンデス判事の元に届いている。
 メンデス判事は17日の時点では具体的な判断を行っていないが、「連警が録音したジウマ大統領とルーラ氏の会話の内容を聞く限り、ルーラ氏の就任が逮捕逃れのためではないというのは疑わしい」と発言した。同判事は18日の内に、大半の訴状に対する判断を下す意向だ。
 また、訴状3通を受け取ったテオリ・ザヴァスキ判事は、大統領府とAGUのジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ長官、連邦検察庁のロドリゴ・ジャノー長官に5日の期限を与え、ルーラ氏の官房長長官就任に対する説明などを求めている。
 また、最高裁判事で選挙高等裁判所長官のディアズ・トフォリ判事は17日、ジウマ氏の14年大統領選挙違反疑惑に関してアエシオ・ネーヴェス氏(PSDB)が提出した同高裁への訴状を、既に進行中の訴状と共に4件一括で審議する旨も発表している。
 ルーラ氏は18日、最高裁の判断を尊重するとの文書を出したが、最高裁でのルーラ氏の印象は決して良くない。それは16日に公開された3月4日のジウマ氏の会話の中で、ルーラ氏が「最高裁は腰抜けだ」と発言したことが明らかになったためだ。セウソ・ド・メロ判事は17日、「典型的な専制君主の言い草だ」と厳しく批判した。
 ジウマ大統領は17日、モロ判事がルーラ氏の電話の盗聴公開を許可した件で「他の国なら大統領の発言が許可もなく録音されるようなことがあれば犯罪だ」と憤りをあらわにしたが、盗聴された電話はルーラ氏の警備員が別人の名前で携行している電話だった。