連邦最高裁のジウマール・メンデス判事は18日、17日にジウマ大統領が行ったルーラ前大統領(労働者党・PT)の官房長官任命を差し止める暫定令を出した。同判事はさらにルーラ氏の公職特権を認めず、サンパウロ州検察局が同氏に対して出した逮捕請求に関する判断はラヴァ・ジャット作戦を管轄するセルジオ・モロ判事に任せる判断を出した。19日付伯字紙が報じている。
メンデス判事の暫定令は18日夜、ルーラ氏がサンパウロ市パウリスタ大通りでの親・連邦政府派のマニフェスタソンに登場し、「国を助けるために政府に戻った」と壇上で発言したすぐ後に出た。
メンデス判事は同時に発表された文書の中で、ルーラ氏の官房長官就任は「モロ判事からの捜査や逮捕を逃れようとする意図が感じられるため」だとしている。この暫定令は、野党の民主社会党(PSDB)と社会大衆党(PPS)の訴状に基づいて出された。
14日にルーラ氏への逮捕請求の判断が当初のサンパウロ州地裁からパラナ州連邦地裁に移されたと報じられた後、ルーラ氏の就任話は急速に展開し、16日午前中に内定した。
ところが、同日午後、ジウマ大統領がルーラ氏との電話で「必要なとき使えるよう、閣僚への任命証を補佐官に持って行かせる」と話したことを連邦警察が盗聴で捉えた。同日夕方、モロ判事の許可の下でこの会話が他の盗聴記録と共に公表され、波紋を呼んだ。
国家総弁護庁(AGU)は17、18日に、17日に出された地裁からのルーラ氏就任差し止め命令2件の棄却に成功したが、メンデス判事のものは時間的にも法的にも止められなかった。今週はパスコアの連休などで最高裁が休廷となるため、メンデス判事の命令は少なくとも30日まで有効となる。
連邦政府側はメンデス判事の判断を覆そうと懸命になっている。ルーラ氏側の弁護団は、モロ判事の盗聴公開の違法性やメンデス判事のかねてからの反連邦政府的な発言を問題視し、最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事にメンデス判事の暫定令棄却を求める意向だ。
テオリ判事は18日、モロ判事の名前を伏せつつ、「裁判所は問題を解決するためにあり、火に油を注ぐ存在ではない」として、同判事のやり方を批判した。
また、14日に指名され、17日に就任したエウジェニオ・アラゴン新法相も18日、連邦警察の捜査のあり方に不満を表明し、「捜査内容の漏洩が起こるようなら、連警の捜査チームの挿げ替えを行う」との見解を発表している。
ルーラ氏は16日に公表された盗聴記録の中で、「この国の最高裁や高等裁は臆病者だ」「アラゴン法相には友人として、男の仕事を期待したい」などと語っている。