原油価格の下落にブラジル経済危機、政治危機が相まって、ブラジル最大石油公社のペトロブラス(PB)が史上最大の赤字を記録したと22日付伯字各紙が報じた。
PBは15年の会計を348億3600万レアルの赤字で閉じた。この大赤字の主な要因は、同社が株式その他の資産額をこれまでにない規模で見直し、評価額が大きく低下したことだ。
最大赤字計上には、同社の抱える負債の増大も関係している。15年のPBは、信用格付の低下などもあり、負債の利子だけでも280億レの出費が必要となった。
15年の同社の赤字額は、1986年に経済コンサルタント会社のエコノマチカ社がブラジル企業の業績報告を出し始めて以来、2番目に大きい。最大は、同じく15年に資産の見直しを行った鉄鉱最大手のVale社が計上した、442億レの赤字だ。
前年14年は216億レの赤字だったから、今年の赤字額はそれより約61%増えている。2年連続の赤字決算となったため、PBは株主への配当や従業員への利益分配を行わないと発表した。
15年を四半期ごとに見た場合、PBの赤字は369億レアルを記録した第4四半期に集中している。14年の原油価格は1バレル98・99ドルだったが、15年は52・46ドルに下がったため、PBの資産評価額は497億レアル下落、第4四半期に資産価値の減少が集中した。
原油価格の下落は原油の開発生産計画にも影響し、今年のPBの生産額は、昨年と比べて337億レ少なくなると予想されている。
アルデミール・ベンジーニPB総裁は、原油採掘や精製、販売などの通常のオペレーションでは利益が出ているから、PBには苦境を脱する力があると強調し、「今回の決算報告は我が社の透明性と、信頼度回復への努力を示すものだ」と釈明した。同総裁は、PBの会計は4~5年の内に正常に戻ると語った。
「PBは15年の会計に全てのマイナスを集中させる戦略を採った。しかし、そんな細工をしてもしなくても、PBの実質的価値は落ちている」と投資コンサルタント会社テンデンシアス社のワルテル・デ・ヴィット氏は語る。