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最高裁のテオリ判事(Nelson Jr./SCO/STF)
最高裁のテオリ判事(Nelson Jr./SCO/STF)

テオリ判事=ルーラ氏の捜査権は最高裁に=モロ判事による逮捕遠のく=メンデス判事の決定は保持=O社元社長が脅威の証言へ

 連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事は22日、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に、ルーラ前大統領(労働者党・PT)に関する盗聴記録を含む、前大統領とその家族に関する全ての捜査資料を渡すよう命じた。これで、当面はルーラ氏がモロ判事によって逮捕される可能性はなくなったが、ルーラ氏の官房長官就任の件は、最高裁が決めるまで棚上げの状態が続くことになった。23日付伯字紙が報じている。

 18日にジウマール・メンデス判事が出した暫定令は、ルーラ氏の官房長官就任を差し止めると共に、サンパウロ州検察からの逮捕請求への応答を含む全ての捜査権をモロ判事に差し戻すことを決めた。
 しかし、テオリ判事は22日、ルーラ氏とその家族に関する捜査資料全てを最高裁に送るよう、モロ判事に命じた。これにより、ルーラ氏とその家族に関する捜査やその資料に基づく判断は、ひとまず最高裁に移されることになった。
 テオリ判事は、16日にモロ判事がルーラ氏に関する盗聴記録の公表を認めたことに関し、「裁判所は問題を解決するところであり、騒ぎを広げることではない」として批判していた。
 この盗聴に自身のものが含まれていたジウマ大統領は、「他国なら、最高裁の許可もなく大統領の盗聴を行えば犯罪だ」とモロ判事への怒りを露にしている。
 ロドリゴ・ジャノー検察庁長官は「ルーラ氏の盗聴に、図らずも大統領が入ってきたのであり意図的ではない」との見解を表し、盗聴そのものは肯定した。ジウマ氏はその中で、ルーラ氏への公職特権授与が逮捕逃れのためと思わせる発言を行い、問題となっていた。
 ただ、この命令はメンデス判事によるルーラ氏の就任差し止めを覆すものではない。ルーラ氏の官房長官就任の件は、検察庁の意見も聞いた上で最高裁が判断する。ルーラ氏に関する捜査や裁判の管轄が最高裁になるか地裁になるかは、その結果次第となる。
 メンデス判事は、ポルトガルでの講演などの所用で2週間ほど法廷を空けるため、同件に関する審理はその後となる。
 一方、22日は建設大手のオデブレヒト社を中心にラヴァ・ジャット作戦(LJ)第26弾が敢行され、同日夜、既に19年を超える実刑判決を受けた同社元社長のマルセロ・オデブレヒト被告らが報奨付証言に応じることを決めた。マルセロ被告はLJとPTとの関係の鍵を握る人物で、前大統領に講演を依頼し国外を旅行、その国での事業も受注など、前大統領と密接な関係を保っており、その供述はルーラ氏らにとって脅威となる。
 LJ第26弾は、第23弾で逮捕され、オデブレヒト社の賄賂表を管理していた元秘書マリア・ルイア・タヴァレス容疑者の報奨付供述などを裏付けるもので、8州にまたがって敢行された。
 また、23日には連警がPT元選挙参謀のジョアン・サンターナ氏ら7人を正式に告発した。