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聖市の公立病院オープン式典のハダジ聖市長(中央)(Cesar Ogata/SECOM 15/12/11)
聖市の公立病院オープン式典のハダジ聖市長(中央)(Cesar Ogata/SECOM 15/12/11)

例年より早いインフルの脅威=小児科医不足で5時間待ちも=ワクチン解禁求めるサンパウロ州

 【既報関連】例年よりも2カ月も早く季節はずれのインフルエンザA型(H1N1)が流行しており、サンパウロ市では幼い子供を持つ親達が受診までに多大な苦労を強いられていると28日付フォーリャ(F)紙が報じた。
 私立病院でも公立病院でも小児科医が不足しており、その結果、救急外来に患者が溢れ、診察まで5時間待ちといった事態も発生している。
 法務アシスタントのフェルナンダ・ブラガさん(31)にとり、救急外来で長時間待つのは日常茶飯事となった。2歳のサムエル君(2)が風邪をひき、発熱や嘔吐などの症状が治まらず、4回もサンカミーロ病院に連れて行ったからだ。「H1N1型インフルのことは何年も聞いた事がなく、心配した。今は家中が風邪を引いている」と不安を露わにした。
 私立サマリタノ病院ではインフルエンザ検査と感染予防に関する情報を書いたバナーを掲げ、サンタカタリーナ病院では咳やくしゃみでウイルスを撒き散らさないための注意書きを提示。マスク配布も行っている。
 同市東部の公立病院ではこの週末、小児科医不在でたらい回しにされたり何時間も待たされたりする子供が続出したが、同市市役所は小児科医不足を否定し、この時期は呼吸器系の病気が増えるが、H1N1型インフルへの対処を優先していると説明した。サンパウロ市は既に小児科医の公募を行っており、次の募集の準備も始めている。
 サンパウロ州でも状況は変わらず、インフル感染者増大と、それが重症化した重症急性呼吸器症候群(ポ語はSRAG、英語ではSARS、サーズ)蔓延の危機に直面している。サンパウロ州では3月19日までの2カ月で、157やH1N1などのインフルエンザによるサーズが191件発生、27人が亡くなった。死者数は既に、昨年の年間発生者数の半分に達している。
 28日、サンパウロ州政府は保健省にインフルエンザ感染予防ワクチンの前倒し使用を請願した。保健省は今年、A型二つとB型一つに対する免疫をつけるタイプと、A型二つとB型二つの計4種のウイルスに対応するタイプの二つのワクチンを解禁したが、公的機関での予防接種は3種タイプのみ。
 公的機関での予防接種は4月30日~5月20日までで接種の前倒しは行わないが、私立病院では100レアル前後で既に接種できるところもある。ワクチンは接種してから3~4週間後から効果を発揮する。