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日本など外国に未申告の資産がある人は要注意

R法を使った場合(上)と使わなかった場合の比較(EXAME誌1月19日付電子版より)

R法を使った場合(上)と使わなかった場合の比較(EXAME誌1月19日付電子版より)

 連邦税務局(RF)に未申告の預金を日本の銀行に持っていたり、日本で遺産相続した土地や家屋、車、証券などが未申告になっている人はいないだろうか。企業の場合も同様だ。ブラジル在住者(駐在員も含む)で、当地で確定申告(IR)をしている人なら、みな関係する。未申告の資産が外国にある場合、4月4日から申請開始となる「レパトリアソン法(以下R法)」(正式名称RERCT)に要注意だ▼2014年12月31日時点で外国に、連邦税務局に未申告の資産(現金、預金、株式、証券、土地など)を持つブラジル在住者に対し、割安で合法化するR法を、ジウマ大統領は1月13日に署名した。これは、連邦税務局に申告を怠ってきた税法上の刑罰を免除し、総額の30%(所得税15%+罰金15%)を支払うことで合法化するものだ▼連邦政府は、この税収を210億レアルと見積もっており、財源が大幅に不足する現在、この大型臨時収入に期待を寄せている。レパトリアソン(帰国)法という名前が示している通り、外国にこっそり流出していた資金を、再び国内の税制下で管理するための法律だ。昨年から話題のクーニャ下院議長のスイス秘密口座のお金が真っ先にイメージされるが、同法条文を読めば、違法資金にR法は適用されないし、連邦上議や下議、政府組織管理職は適応外とある。とはいえ現実的にその境目はかなり曖昧かもしれない。なお、R法適用後も、資産は国外に置き続けられる▼EXAME誌1月19日付電子版によれば、R法を利用した場合、次のような利点がある。100万ドルの未申告資産を14年末時点で外国に所有していた場合、その時のドルレート(2・65レ)で換算(265万6千レ)するので、現在のレート(1月18日時点で約4レ、403万6千レ)より大幅に安くなる。税金15%と罰金15%の合計は14年末レートなら合計79万6830レアルで、1月のレートで換算すれば実質19・74%を払えば済むことになる▼とはいえ「申告していなかっただけで約20%も払うのか?」との疑問が湧くかもしれない。でもR法を使わなければ、100万ドルを1月時点で換算した403万6千レアルに所得税が27・5%(111万レ)もかかり、加えて所得税額の75%もの罰金(83万レ)がかかる。さらに、この罰金には5年前にさかのぼった基本金利がかかるので、利子だけで377万レ。つまり合計で377万レも支払う必要があり、これは100万ドルの93・44%に相当する―と同誌は伝える。つまり、R法を使わない場合、ほぼ全額が税金や罰金とその利息で持っていかれるという衝撃の事実だ▼R法の細則はRFが「Instrução Normativa nº 1.627/2016」として15日に公開した。申告プログラムは4月4日からRFサイトに公表される。今年10月31日までが申告期限だ。なお税金・罰金の分割払いはない。初めての法律であり、誰も実際のところが分からない部分がある▼RFは「今回R法申告した内容が、数年後に現実とは違うと分かった場合、R法適用から除外し、厳格な罰金を科す」とする。伯米間の税務当局は今年9月から預金等の情報が筒抜けになる。日本ではマイナンバー制度が昨年から始まり、18年頃には銀行口座にもつながるとの話がある。実際よりも少ない金額でR法申請したら、その時に筒抜けになる可能性があるワケだ。関係ある人はこの件に詳しい会計士に相談するのが良さそうだ。(深)