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ジカ熱=ブラジル侵入は13年か=コンフェデ杯が発端の可能性

 24日発行の科学雑誌『サイエンス』に、ブラジルのジカ熱感染は2013年5月~12月に始まっていた可能性が高いとの記事が掲載された。
 ブラジル初のジカ熱患者は、2015年5月に確認された事になっている。だが、ブラジル国内外の研究者達は、最初の感染は13年に起きていたと考えている。
 パラー州アナニンデウアにあるエヴァンドロ・シャーガス研究所のヌーノ・ロドリゲス・ファリア氏やマルシオ・R・T・ヌーネス氏、ペードロ・フェルナンド・ダ・コスタ・ヴァスコンセロス氏、オックスフォード大学のオリヴァー・ピヴス氏ら、ブラジルを中心に、英国、米国、カナダの研究者がブラジルの患者7人から集めた資料を分析した結果、ブラジルにジカウイルスが入ってきたのは13年との結論に至ったという。
 ヴァスコンセロス氏らは当初、最初のジカ熱感染は2014年のワールド・カップの時に起きたと考えていた。
 だが、ブラジル国内で集めたウイルスの遺伝子情報や、ジカ熱患者はデング熱やチクングニア熱の患者と混同され易く、ジカ熱患者の8割は自覚症状が無い事などから、ジカ熱は公式発表された15年5月より1年以上早く国内に入っていたと結論付けた。
 ブラジル国内のジカ熱患者から検出されたウイルスがフランス領ポリネシアで流行したジカ熱ウイルスと類似している事は既に確認済みだが、最初の感染は13年に起きたと考えた場合、タヒチからのチームも参加し、同地域からの旅行客も増えたコンフェデレーション杯の時期に最初の感染が起きたと考えるのが最も妥当だ。相関関係を証明するのは困難だが、タヒチのチームは同杯の時、レシフェ市で試合をしている。レシフェ市は、ジカ熱患者や小頭症児の誕生例が最も多い北東部に位置している。
 ブラジル国内で検出されたジカウイルスは地域毎に特徴があるが、研究者達は、ジカウイルスは変異し易く、サンパウロとパラー、マラニョンといった地域差はデング熱のウイルスに見られる変異と同程度で、変異の速度もデング熱のそれと同じ位と判断している。
 全世界的にジカ熱対策が急がれている事などから、今回発表された研究には50人以上の研究者が参加した。ファリア氏は「世界保健機構(WHO)が『爆発的な流行』と言う状況下では、充分に的を絞った研究をより迅速に行う必要がある。今回の研究は、異なった分野の専門家も動員し、複数の分野にまたがる幅広いものとなっている」と強調している。(25日付フォーリャ紙、エスタード紙より)