29日、ブラジルは、労働者党(PT)政権で最大のパートナーだった民主運動党(PMDB)の政権離脱でジウマ大統領罷免の動きが一気に高まったことに関する報道一色となったが、その29日未明、ジウマ氏と2010年、14年の大統領選を争ったマリーナ・シウヴァ氏が注目のテレビ出演を果たした。
マリーナ氏は元々、PT結成当初からのメンバーで、ルーラ政権では環境相(2003~08年)をつとめていたが、自身の環境政策と政府内の意向があわず、辞任して離党。10年には緑の党、14年にはブラジル社会党から大統領選に立候補し、いずれも3位で終わっていた。
だが、ジウマ大統領が罷免の危機に置かれている昨今、世論調査の「18年の大統領選に支持したい人」で、マリーナ氏は前回大統領選2位のアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)を抑えて1位になっている。
そのマリーナ氏が29日未明、グローボ局の深夜のトーク番組「プログラマ・ド・ジョー」に出演。この日は名物司会者ジョー・ソアレスによる同番組の最終シーズン第1回目の放送で、その記念すべき最初のゲストがマリーナ氏だった。
マリーナ氏は、ジョーから次期大統領としての期待が高いことを指摘されると、「まだ大統領選に出るか否かも決めていない」とした上で、「大事なのは役職そのものより、国を動かす計画だ」と自身の意向を語った。マリーナ氏は2年がかりでようやく結党にこぎつけた自身の党、持続ネットワーク(Rede)について、「PSDB政権の経済政策の『レアル・プラン』や、PT政権の社会政策の『ボルサ・ファミリア』のような、もはや政党のものではなく、国民のものとなっている政策を作り上げたい」との抱負を語った。
マリーナ氏は同時に、ジウマ大統領の罷免に関し、現在、下院で進めている、ジウマ氏ひとりを対象とした手続きではなく、アエシオ氏が選挙高等裁判所に請求を出している14年大統領選挙でのキャンペーン不正疑惑に基づき、ジウマ氏とミシェル・テメル副大統領の連帯責任を問う形での当選取り消しと再選挙による政権交代を強く望んでいる旨を語った。
この説はマリーナ氏がかねてから語っていたものだが、注目すべきは、下院とは異なる形ではあるものの、マリーナ氏がジウマ氏の罷免を求めていることだ。現状も、PTを含め左翼政党は「罷免」という形での政権交代に強く反対しているが、それをマリーナ氏は望んでいる。
マリーナ氏は14年の大統領選挙時、ジウマ陣営のCMで「マリーナが大統領に就任すると、それは任期を全うできない史上最低レベルのものになる」として、ジャニオ・クアドロス氏(1961年のみ)やフェルナンド・コーロル氏(1990~92年)という、歴代史上最悪の呼び声高い大統領と並べられて比較されたり、こき下ろされたりした。「昔の仲間にこんなことを」と涙ながらに傷つけられたことを悲しんだいきさつがある。
また、アエシオ氏もPT側の舌戦展開を前に最後の大接戦で敗れているため、本音では罷免でなく再選を求めている。なお、この当時のPTの選挙参謀、ジョアン・サンターナ氏は巨額収賄の容疑で逮捕された上、28日に起訴されている。
マリーナ氏の見解に対し、ジョーは「でも、大統領の巻き添えを食う形で副大統領もダメというのは」と反論し、議論になりかかったが、トークはそこで時間切れで終了となった。(29日付ZHエントレニメント・サイトなどより)
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